じゃこうそう

  マスクフラワー  Muskflower → Musk mallow (Malva moschata ) アオイ科ゼニアオイ属)

ヨーロッパ原産の多年草で、高さは60センチ前後にまで生長し、初夏から夏にかけて薄いピンクや白の花を咲かせます。花には麝香の香りがあるとされ、和名はジャコウアオイ。

古代ギリシャ、ローマ時代には薬草として重宝され 、さまざまな用途に役立っていたそうです。
耐寒性が強いことから、島でも野生のものが見られます。

ハーブティーや料理の飾りとして使われ、薬用としての効用は、炎症保護、アレルギーや気管支炎の症状の緩和など。
 

 
バリー家の庭に咲いていたのは)バラ色のブリーディング・ハーツ、真紅のすばらしく大輪の牡丹、白くかぐわしい水仙や、棘のある、やさしいスコッチ・ローズ、ピンクや青や白のおだまきや、よもぎ(lilac-tinted Bouncing Bet)や、リボン草や、はっかの茂み、きゃしゃな、白い羽根のような葉茎を見せているクローバーの花床、つんとすましかえったじゃこう草(prim white musk-flowersの上には、燃えるような緋色の花が真っ赤な槍をふるっている……            
                             
                                                                                   『赤毛のアン』 第12章  おごそかな誓い

 (
(There were rosy bleeding-hearts and great splendid crimson peonies; white, fragrant narcissi and thorny, sweet Scotch roses; pink and blue and white columbines and lilac-tinted Bouncing Bets; clumps of southernwood and ribbon grass and mint; purple Adam-and-Eve, daffodils, and masses of sweet clover white with its delicate, fragrant, feathery sprays; scarlet lightning that shot its fiery lances over prim white musk-flowers; a garden it was where sunshine lingered and bees hummed, and winds, beguiled into loitering, purred and rustled.)
 
 

   写真は、スイス、グリンデルワルドのホテルの前庭で。(2012年夏) 花芯がほんのりピンクの花が魅力的。

 

すましかえったじゃこう草。なるほど。上の写真を見てください。
あちこちを向きながらお日様を求めつつも、意識は常におのれの身体にある・・・ 花弁は薄く、向こうが透けて見えるくらいです。

マロウの花は一日花なので、開花する直前に摘み取り、乾燥させて保存すると、お茶に利用できます。葉にはビタミンが豊富に含まれ、若い葉はサラダや天ぷらに利用できます。

ダイアナの母親、ミセスバリーの性格から、おそらく花壇には見て美しく、そして利用価値のある植物を集め、育てていたのではないでしょうか。 

モンゴメリは日記(1901年、8月28日)に、ピンクと白のマスク(pink and white "musk")」が昔風で好きだと書いています。
繊細で透き通るような花びら、白ともピンクともつかないような花の色が、夏の夕まぐれに浮かび上がる様が目に浮かびませんか。