はっか 

  ミント Mint ハッカ 薄荷  (Mentha シソ科  ハッカ属)

ミントはシソ科の多年草。よく知られているように爽やかな香りのハッカ油を含みます。
シソ科の植物に共通しますが、葉は対生し茎の断面が四角形で、薄紫や、白、ピンクなどの小さい花を咲かせます。
花期は夏。輪生して咲くもの、花茎を伸ばして猫のしっぽのような長い花を付けるものとさまざま。
葉を観賞する斑入り種は特徴的です。

 
強い殺菌力を持つため、古代からハーブティーや料理、香辛料、沐浴剤、薬用などに利用されてきました。
地面の下を這う茎(地下茎)と種子で増えますが、交雑しやすいため、栽培種と野生種のほかに、数多くの雑種があって、いまや私の庭のミントは「わけ分からない状態」に。


ダイアナの庭のシーンはもう見ましたから、他の場面を探ってみましょう。

  「ああ、ダイアナ、また家に帰ってこられて嬉しいわ。あのとがったモミの木たちがピンクの空にそびえているのや、あの白い果樹園や、なつかしいスノウ・クイーンを見るのは嬉しいわ。 ミントの香り(breath of the mint)が心地よくない?」          『赤毛のアン』 第36章 栄光と夢

 ("Oh, Diana, it's so good to be back again. It's so good to see those pointed firs coming out against the pink sky-- and that white orchard and the old Snow Queen. Isn't the breath of the mint delicious? And that tea rose--why, it's a song and a hope and a prayer all in one. And it's good to see you again, Diana!" )

 ある晩リンド夫人がやってくると、暖かくかぐわしい夏の夕暮れの中で、アンとマリラが玄関の戸口に座っていた。
二人は夜のとばりが降りてきて、白い蛾が庭を飛び回り、湿った空気にミントの香り(odor of mint)がたちこめる頃、そこに座っているのが好きだった。 
                                                 『赤毛のアン』 第38章 道の曲がり角

 (
Neither did good Mrs. Lynde. She came up one evening and found Anne and Marilla sitting at the front door in the warm, scented summer dusk. They liked to sit there when the twilight came down and the white moths flew about in the garden and the odor of mint filled the dewy air. )

『『赤毛のアン』 「第36章栄光と夢、第38章 道の曲がり角」に出てくるミントが印象的です。

・エイヴリー奨学金を手にし、将来の夢を語るアン。傍らには親友のダイアナと、豊かな自然。
breath of the mint) ---- ミントが緑の息を吐き、揺れる。(第36章)

・16歳のアンが、マシュウ亡き後の自分のゆく道を選びとり、家族として大事な存在のマリラと一緒に、愛するグリン・ゲイブルスを守ろうとする ---- 戸口に座り、はるかな景色を見下ろしている。
かの日とおなじく、果樹園の桜もスノークイーンも、アンのもの。
風も無く、ミントの香りが漂う夕まぐれ。
二人の間には言葉など必要ない。  
神がアンの心根を善しとし、祝福するようなシーンです。
 

花言葉は、有徳、貞淑、高潔さ。

     

おそらく:

ペパーミントに
アップルミント
スペアミント

そうして、
わけわからない
ミントさん。

 

 

 

 

    
           ○  ひとたびの夜の明け六月の窓にあふるる従ふこころ  (Ka)