おだまき  

 おだまき  苧環  
                                  (Aquilegia キンポウゲ科オダマキ属)  Aquilegiaとは水差しのこと

オダマキは、キンポウゲ科オダマキ属の多年草。
よく見かけるオダマキは、日本原産のオダマキと、北半球に分布するセイヨウオダマキとに大別されます。
セイヨウオダマキには、野生種あり、改良された園芸種ありと種類も多様で背も高く、70センチ前後にまで育ちます。花姿も一重咲き、八重咲きとあり、花色も白、ピンク、紫、青、赤とさまざま。
「オダマキ・苧環」とは麻糸を巻いた管のこと。
距が伸びている様子が苧環に似ていることから、この名前が付けられました。花から飛び出たのは距と呼ばれ、その根元に 溜まった蜜を求めてやってくる昆虫類によって受粉し、キンポウゲ科の花に相応しく、びっしりと種を詰めた大きな種袋を作ります。
この発芽率ときたら、言うまでもなく優秀で、あとは言わずもがな。
属名の Aquilegia はラテン語の「aquila(鷲)」からきていて、曲がった距がワシの嘴に似ていることから名づけられたとのこと。
 

(バリー家の庭に咲いていたのは)バラ色のブリーディング・ハーツ、真紅のすばらしく大輪の牡丹白くかぐわしい水仙や、棘のある、やさしいスコッチ・ローズ、ピンクや青や白のおだまき(pink and blue and white columbines)や、よもぎや、リボン草や、はっかの茂み、きゃしゃな、白い羽根のような葉茎を見せているクローバーの花床、つんとすましかえったじゃこう草の上には、燃えるような緋色の花が真っ赤な槍をふるっている……
                『赤毛のアン』第12章おごそかな誓い

 (The Barry garden was a bowery wilderness of flowers which would have delighted Anne's heart at any time less fraught with destiny. It was encircled by huge old willows and tall firs, beneath which flourished flowers that loved the shade. Prim, right-angled paths neatly bordered with clamshells, intersected it like moist red ribbons and in the beds between old-fashioned flowers ran riot. There were rosy bleeding-hearts and great splendid crimson peonies; white, fragrant narcissi and thorny, sweet Scotch roses; pink and blue and white columbines and lilac-tinted Bouncing Bets; clumps of southernwood and ribbon grass and mint; purple Adam-and-Eve, daffodils, and masses of sweet clover white with its delicate, fragrant, feathery sprays; scarlet lightning that shot its fiery lances over prim white musk-flowers; a garden it was where sunshine lingered and bees hummed, and winds, beguiled into loitering, purred and rustled. )

 
やはり。バリー家の庭にはおだまきが咲いていました。ピンクや青や白のおだまきが。コロンバイン コロンバイン コロンバイン。  columbine, columbine, columbine.
なんと楽しい響きなのでしょうか。
鳩が頭を寄せて話し合っているように見えることから、「鳩の植物=鳩のような=コロンバイン」。
Columbineは、Aquilegiaやアキレギア属と同義。
          セイヨウオダマキ(カナダ・ロッキーの山の中で)

              日本のミヤマオダマキ (庭で)


寒さに強く、島の気候によく合ったおだまき。

大阪時代には、このオダマキの夏越しが難しく、貴重な花でしたが、ここ那須の土地はそれこそ増え放題。
いつもはびこらないように、コントロールしています。

花言葉は
「必ず手に入れる」「愚か」「断固として勝つ」
(紫)「勝利への決意」「捨てられた恋人」
(赤)「素直」
(白)「あの方が気がかり」

なんということか!
人生のすべてがこの花の色に凝縮されているではありませんか。
・・・・・特に「愚か」という部分に。

← 庭のセイヨウオダマキ  八重の花が美しい。
   背景はオオデマリ (スノーボール)

 

 

特筆すべきはカナダオダマキです。

(写真右 ロッキー山脈の中のマリーン湖で撮影)。

アクイレギア・カナデンシス(Aquilegia canadensis)と呼ばれ、野生種にふさわしく花の数はまばら。下向きに優しい色合いの花を付けるのです。

この花に出合った瞬間、感謝の言葉をつぶやきました。おお、やっと見つけることができた、と。

 


 「わたしが滞在していた家の、昔なじみの果樹園に自生しているオダマキの白やピンクの釣鐘型をした花弁の中には妖精たちがたくさん住んでいた、と確信しています。」
                      『モンゴメリ書簡集』 宮武潤三・順子訳(篠崎書林) より

 ○ くれなひの苧環の花の包めるは逝きにし初子(うひご)の終(つひ)の息かも  (Ka) 
                          アンの初子・ジョイスの死を悼み

 

 

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