すいせん
水仙 ジューンリリー(June lily)Narcissus (ヒガンバナ科スイセン属))
スイセンはヨーロッパ、地中海沿岸を原産とする多年草(球根植物)
で、植物毒リコリンを含む有毒植物。
『赤毛のアン』には水仙が出てくる印象的なシーンがいくつかあります。 |
|
それから、ほしかったら、すみのところの白いゆりの花(white June
lilies)をつんでもいいからね。」 ("Laws, yes, run along, child. And you can pick a bouquet of them white June lilies over in the corner if you like." ) アンが、ふくいくとした香りのただよう果樹園のほの暗い下かげから、水仙(white
narcissi)の花束をかかえて現れた。『赤毛のアン』第10章 アンのおわび
(When
Marilla went home Anne came out of the fragrant twilight of the
orchard with a sheaf of white narcissi in her hands.
) |
|
ここの場面が不思議でした。アンが摘んだのは百合なのか、水仙なのか。 リンゴの花が咲く季節に、百合の花が咲いているはずはないことに気付いたのは、植物を育て始めてからのこと。 白くすんなりした花を ”lily" と呼ぶ例はほかにも。 ユリは聖母を象徴するので、キリスト教を代表する花と言えます。 春一番に咲く水仙を 「白いゆりの花」(”June lilies”)と呼ぶ・・・聖なるものが現れた喜びを象徴する名付け。 |
|
ラッパスイセン(Daffodi) IceFollies 私の庭 4月 咲く進むにしたがって、花冠が白く変化し、花弁は蝋細工のように輝きはじめます。 |
ラッパスイセン (Daffodi)Early sensation 名前の通り、雪が消え残るころから咲きはじめます。 私の庭 3月 |
ばら色のブリーディング・ハーツ、真紅の素晴らしく大輪の牡丹、白くかぐわしい水仙(white,
fragrant narcissi)や、棘のある、やさしいスコッチ・ローズ、ピンクや青や白のおだまき草や、よもぎや、リボン草や、はっかの茂み、きゃしゃな、白い羽根のような葉茎を見せているクローバーの花床 ・・・ |
|
薔薇色、真紅、白、薄いピンク、青、白のおだまき、ふわふわしたサザンウッド、すらっとした
リボン草、緑濃いはっか、白く香り高いスイート・クローバー。 島の緑には、54種類あるといいます。 バリー家の庭の、これらの植物を想像するだけで、うっとりしませんか。 |
|
大きな赤いしゃくやくとならんだ白水仙(white June lilies
she calls narcissus)と言った感じですね。 (ダイアナとルビーとアンの三人を比較してのリンド夫人の言葉) 『赤毛のアン』 第30章 クィーン学院の受験
(But
somehow--I don't know how it is but when Anne and them are together,
though she ain't half as handsome, she makes them look kind of
common and overdone-- something like them white June lilies she
calls narcissus alongside of the big, red peonies, that's what." ) |
|
リンド夫人と、恋人を思うエリックの言葉から、white June lilies が narcissusだと判明します。 | |
白水仙(white narcissu)をかかえたアンが入口の階段のところに駆けつけてみると、マシュウがたたんだ新聞を手にして戸口に立っていた。その顔はへんにひっつれて灰色だった。 『赤毛のアン』 第37章 死のおとずれ
(It
was Marilla who spoke, alarm in every jerky word. Anne came through
the hall, her hands full of white narcissus,--it was long before
Anne could love the sight or odor of white narcissus again,--in time
to hear her and to see Matthew standing in the porch doorway, a
folded paper in his hand, and his face strangely drawn and gray.) |
|
アンが島にやってきたのが白い水仙の花咲く6月。 クイーン学院を卒業し、前途に希望を抱いていたアンの前に悲劇が起きます。理解者であるマシュ−の死は、季節が輝きはじめる春6月のできごと。 アンが新しい人生に立ち向かう決心をするために、作者はマシューの死をは春を、それも水仙の咲く6月を選びました。これは必然だったとも思えます。 |
|
作者・モンゴメリは日記(April 15, 1914)に、
ウィリアム・ワーズワース (1770-1850) イギリスの代表的なロマン派詩人であり、湖水地方をこよなく愛し、自然讃美の詩を書きました。
作者もおそらく愛唱したことでしょうね。 |
|
The Daffodils
I wander'd lonely as a cloud
Continuous as the stars that shine
|
|
冬の寒さの厳しいここ那須の地も、写真にあるように早咲きのラッパスイセンが雪の中花開き、長い冬を耐え、縮んでしまった心や体を慰めてくれるのです。 |
.