アメリカナデシコ Sweet
William (Dianthus barbatus)
ナデシコ科ナデシコ属
アメリカナデシコは、和名はセキチク、ひげなでしこ、美女なでしこ。ヨーロッパ中部やロシア西部原産のナデシコで多年草。苞の先が髭のように長い(総苞)のでヒゲナデシコとも言い、美女ナデシコの名前は小さい花が丸く集まって咲く花が美しいことから。バーベナを別名美女桜・ビジョザクラと呼ぶのと同じです。
原産種が改良され、現在は草丈が50センチ前後と、切花に適当な大きさで、流通用に栽培されたり、庭に植えられたりします。
強健で乾燥にもある程度強く、春蒔きして秋に花を見る、秋蒔きして初夏に花を楽しむといった方法がありますが、一旦根付くと常緑で冬を越し初夏に花を付けるのが普通です。群れ咲く様子はいかにも夏到来の喜び。
ただし、暑さに弱く場所によっては一年草扱いします。
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(柳風荘の庭は)小径のへりはたいそうきちんとした、整然たる花壇となっており、リボン草やブリーディングハートや、鬼ゆりや、アメリカなでしこ(Sweet-William)や、よもぎ、花よめ草(bride's
bouquet)や、紅白のひな菊、それにリンドのおばさんのいわゆる「芍薬」が植わっていました。
『アンの幸福』 最初の1年
(The path was edged by very prim,
well-ordered beds of ribbon grass and bleeding-heart and
tiger-lilies and sweet-William and southernwood and bride's bouquet
and red-and-white daisies and what Mrs. Lynde calls 'pinies.')
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pinky の名前にしては赤味が強い花 |
セキチク、紫色のポリジ、キンレンカの葉、ビオラの花。 |
ああ、この柳風荘の庭は、『赤毛のアン』のバリー家の庭の様子に良く似ていますね。『アンの幸福』に出てくるパティの家の庭は、もっと昔風の庭でした。
「世界を見てみたい」と旅に出る、前向きで気持ちが若い双子の家主と共通する印象を受けます。
花言葉は伊達男、勇敢、義侠。男性性が強いようです。
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古い年は雪もない薄暮のうちに、石竹色をおびた黄色の夕日とともにしずかに去ったのではなく、はげしい吹雪と共に立ち去ったのである。 『アンの愛情』 第8章
この部分の原文は:
(The
old year did not slip away in a green twilight, with a pinky-yellow
sunset.
Instead, it went out with a wild, white bluster and
blow.)
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pinky ・・・この言葉に引っかかりました。
調べると、pinkにはナデシコ、セキチクの意味があるので、石竹色と訳出された理由が納得できます。
石竹色はセキチクの花のような淡い赤色のことで、茜色に似ています。
穏やかに過ごしたかったのに、という作者(アン?)の心とは裏腹に、吹雪の年の暮れです。新しい年やいかに? |