ふうりんそう

 ふうりんそう  風鈴草   Campanula medium 
                                         キキョウ科ホタルブクロ属 
英名Bellflower

Campanulaはラテン語起源で、釣鐘の意味をもちます。
代表的な種はこのフウリンソウ.(英名Canterberry bell)。フウリンソウは南ヨーロッパ原産。初夏に種を蒔き夏、秋、冬を越し二年目の初夏に花を咲かせる二年草。二年目の春からは生育が急激で、花茎は高いもので一メートル近くまで育ち、釣鐘形の花を多数つけます。
涼しい気候が好きな植物なので、種蒔き後の夏越しが問題です。なるべく涼しく---人間だってそうありたいものですが。
いっそのこと、エアコンの効いた室内で夏越しするという方法もあるでしょう。
では秋蒔きにすればどうなるか。・・・・一定の大きさに育った株が冬の低温に合わないと花芽が作られない・・・秋蒔きの苗の開花は翌々年の春。時間がかかるのは同じでしょう。だから、価値があるのですけれど。
花色は青紫、紫、白、ピンクと多彩で、花の長さは五〜六pと大きく、花期は初夏。花壇で目立ち、一年あまりの努力と忍耐を補って余りあります。和名はフウリンソウ、またはツリガネソウ。
もっとも最近では品種改良が進み、秋に種蒔き ⇒ 初夏に花を咲かせる種類もあります。
 

 (グリーンゲイブルスでの夏休み) 風鈴草(canterbury-bells)のなかで急角度を描いて飛び回る熊蜂(bumblebees)の唸りに耳をかたむける小さなエリザベス。
                                                                              『アンの幸福』 第13章  

  (. . . listening to the bumblebees zooming in the canterbury-bells . . )
 

   庭の風鈴草  薄い色が好きです。
 



     日本古来の風鈴草(ほたるぶくろ)

余談ですが、この「熊蜂(bumblebees)」の訳では読者に誤解を与えるかもしれません。
熊蜂そのものは、刺激を与えない限り害をなさず、受粉も媒介しますが、いかんせん、日本語で「熊蜂」は、どちらかと言えば強く危険な蜂の印象を与えます。

小さいエリザベスが顔を近づけても安心な蜂は、羽ばたきの音がぶんぶん響く、丸くてふとっちょの「マルハナバチ((bumblebees)」のいずれかの種類でしょう。本来熊蜂の英名は、Carpenter beeなのですから。

さらに余談。カンタベリーは、イングランドKent 州の街で、英国国教総本山 (Canterbury Cathedral) の所在地。古期英語「Kentの町」からきています。Kentの名を採ったこのフウリンソウは、昔から人々に愛されたのですね。 
 

木と木のあいだは花壇になっている。ふくいくとした匂いを放っている品川萩の白い茂み、ピンクや紫の風鈴草(clumps of Canterbury-bells, pink and purple.薄荷、にがよもぎ、大きなブラッシュローズ。そちらのほうからいい匂いの風が吹いてくる。すぐりの茂みには妖精が住んでおり、古い橅の木の上には緑の小人たちが暮らしている。    

              『マリゴールドの魔法』 第5章 死の扉 3   田中とき子訳

 (Between the trees in the open spaces were flower-beds. Thickets of sweet clover, white and fragrant; clumps of Canterbury-bells, pink and purple. Plots of mint and southernwood. Big blush roses. Perfumed winds blew there. Elves dwelt in the currant bushes. Little Green Folk lived up in the old beech-tree.)
 


えぞ松屋敷の果樹園の、木々の間に作られたこの花壇は、いかにも昔風で、園芸好きの心をくすぐります。
さりげなく白い品川萩(white sweet clover)が咲きみだれ、薄荷やにがよもぎが茂り、すんなりした茎から咲く白や薄ピンクのオールドローズの小ぶりな花たちが、風に揺れる風鈴草のひとつひとつの花と響きあいます。
すぐりもそろそろ赤い輝きを放ちはじめ、周囲は橅の木で囲まれている。
おお、この昔ふうの花たちよ。

                                                                 風鈴おだまき