ベンケイソウ

   ベンケイソウ  Live Forever   ベンケイソウ科   Sedum telephioides

Live Forever いつまでも生きる。
めでたいようなめでたくないような名前。
葉は肉厚で水分を貯蔵できるので、乾燥した土地にも、気温の差の大きい地域にも、寒さにも、暑さにも耐えます。
ひとつだけ不得意なのは、「水はけの悪さ」。これで何度も失敗しました。

仲間に、金の成る木、ミセバヤ、カランコエなど。

       
  わたしたち三人は、小さな庭も作りました。努力のわりには報われることは少なかったのですが、わたしたちはとてもそれが自慢でした。花壇にベンケイソウを植えました。自分たちだけが成長できるのだと言わんばかりにベンケイソウは大きくなりました。そして、結局、そのとおりになったのです。ニンジンオ ランダ・ボウフウ、レタス、フダンソウ、それからフロックススイトピー----どれもとうとう芽を出しませんでした。たとえ芽を出したとしても、それは白っぽいひょろひょろした芽でひどいものでした。あんなに辛抱強く土をたがやし、肥料をいれ、雑草をとり、水をまいたのに・・・。でも、それが原因だとすれば、わたしたちは熱心すぎて結局失敗してしまったのかもしれません。

               『険しい道』 モンゴメリ自叙伝 山口昌子訳 篠崎書林

 (Then we had a little garden, our pride and delight, albeit it rewarded all our labour very meagrely. We planted live-forevers around all our beds, and they grew as only live-forevers can grow. They were almost the only things that did grow. Our carrots and parsnips, our lettuces and beets, our phlox and sweet-peas – either failed to come up at all, or dragged a pallid, spindling existence to an ignoble end, in spite of all our patient digging, manuring, weeding, and watering, or, perhaps, because of it, for I fear we were more zealous than wise.
 

あらまぁ。どれも普通に栽培される植物たちなのですが・・・。作者モンゴメリは、子供のころから植物や花に興味があったようです。この経験が『アンシリーズ」の植物描写に役立ちました。
植物の世話は、やり過ぎても足りなくてもうまくいきません。
「水遣り三年」・・・あまりに手を掛け過ぎたので、かえって失敗してしまったのでしょう。この経験が、次のディヴィーの行動に結びつきました。
出てきた芽を「たった6本しか引っこ抜いていない」と不思議に思うディヴィー。
10年後、立派な農夫になって、グリーンゲイブルスを支える存在となるなど、誰が想像しえたでしょう。
 
しかし、ディヴィーのほうは掘りかえしたり、耕したり、水をやったり、移しかえたり、あまり熱心にやりすぎるため、芽の出るひまがなかった。
「あんたのお庭はどんな、ディヴィ?」・・・・・「たぶんあんたのように、一日おきに、引っこぬいては、根のほうも伸びたかなんて見ているのではね・・・そうでなかったら、もっとよく、伸びるはずよ」マリラがひやかした。
「ぼく、たった六本しか引っこぬいていないよ。・・・」
            『アンの青春』 第24章 予言者エイブおじさん

("How is your garden coming on, Davy-boy?" asked Anne.

"Kind of slow," said Davy with a sigh. "I don't know why the things don't grow better. Milty Boulter says I must have planted them in the dark of the moon and that's the whole trouble. He says you must never sow seeds or kill pork or cut your hair or do any 'portant thing in the wrong time of the moon. Is that true, Anne? I want to know."

"Maybe if you didn't pull your plants up by the roots every other day to see how they're getting on `at the other end,' they'd do better," said Marilla sarcastically.

"I only pulled six of them up," protested Davy.)