スイートピー

  スィートピー Sweet pea   (Lathyrus odoratus)   マメ科レンリソウ属

スィートピーは、マメ科レンリソウ属の植物。 odoratusとは香りがあるという意味。イタリア・シシリー島原産の一年草。イギリスで園芸植物としての改良が進み、現在はさまざまな色の園芸種が作出されています。甘い香りと淡い色合いが、生活のどのシーンにも合い、特にお祝いごとに喜ばれます。
比較的育てやすいのですが、根は直根なので、移植を嫌います。したがって普通は秋に直播、またはポット蒔きし、大きくなるのを待って移植し、春の花を待ちます。六月から十月に咲く宿根性種(Lathyrus hookeri)もありまが、花の姿にやや繊細さが欠けると思うのは私だけでしょうか。
ごく寒冷地などは、春蒔きし、夏に花を楽しむこともあります。

      ニュージーランド南島のレストランで  
   庭のトレリスに咲くスィートピー
 
  グリン・ゲイブルスの自分の白い部屋を思いだしてアンはひどく涙がこみあげてきた。あの部屋では外は大自然の緑に包まれ、庭にはスィートピーが生えており、(sweet peas growing in the garden,)、月光は果樹園を照らし、坂の下の小川やその向こうには、夜風が枝をゆする樅林、広々した星空、木の間からもれるダイアナの窓の灯など、自分の部屋にいてそれらを感じられた。・・・ 
         『赤毛のアン』 第34章  クイーンの女学生

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All this might be quite true, and indeed, proved to be so, but it did not materially help Anne in the first agony of homesickness that seized upon her. She looked dismally about her narrow little room, with its dull-papered, pictureless walls, its small iron bedstead and empty book-case; and a horrible choke came into her throat as she thought of her own white room at Green Gables, where she would have the pleasant consciousness of a great green still outdoors, of sweet peas growing in the garden, and moonlight falling on the orchard, of the brook below the slope and the spruce boughs tossing in the night wind beyond it, of a vast starry sky, and the light from Diana's window shining out through the gap in the trees.)

ホームシックにかかるアン。懐かしくアヴォンリーを思いだすアン。
その思いにスィートピーの甘い香りが重なります。花言葉は「門出・思い出・別離」。
モンゴメリは、アンのクイーン学院への入学、マシューとマリラとの一時的な別れ、アヴォンリー村への思いを、このスィートピーの花言葉に込めたのかもしれません。
 

    ○     母恋し父こひしと相聞の返り歌なく皐月の尽きぬ   (Ka)