野生のばら
野ばら Wild
Rose バラ科バラ属
『赤毛のアン』 に登場するばらは、特別な時に飾るばら以外は、身近にあるピンクや白の野ばら(ドッグローズ・ |
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ただそこにいるってだけのものさ、まったくのところ」 車の轍のあとが深くついている野ばら(wild rose bushes.)の小経を歩きながら彼女は言った。 『赤毛のアン』第1章 レイチェル・リンド夫人の驚き 村岡花子訳 ("It's just staying, that's what," she said as she stepped along the deep-rutted, grassy lane bordered with wild rose bushes. ) |
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実際家のリンド夫人には、この野ばらの花が目に入っていないようです。 グリーン・ゲイブルスの二人が、孤児院から子供を引き取ったという驚くべき事実をじかに確かめることで、頭がいっぱいなのでしょう。 リンド夫人は金棒引き? いやいや。家事一般に長け、教会活動に精出す地域夫人の中心人物。 長年、互いの性格の違いが幸いして、グリーンゲイブルスのマリラとは親しい友人です。 |
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スイス ザースフェーで (2011年7月) 野性味豊か |
カナディアンローキー ボウ河河畔で 野生のばら(ドッグ・ローズ Rosa Canina) 朝露に濡れて美しい。 |
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あら、早咲きのちいさなばらが一輪(one
little early wild rose)咲いているわ。美しいこと。あの花は自分がばらなことをよろこんでいるにちがいありませんわね。 ばらが話せたらすてきじゃないかしら。きっと、すばらしく美しい話を聞かせてくれると思うわ。 『赤毛のアン』 第5章 アンの身の上 村岡花子訳 (Oh, look, there's one little early wild rose out! Isn't it lovely? Don't you think it must be glad to be a rose? Wouldn't it be nice if roses could talk? I'm sure they could tell us such lovely things. ) |
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アンにとって美しいものは心の糧。 マリラに連れられてスペンサー夫人を訪ねた結果次第では、孤児院に返されるかもしれないという悲劇的な状況においてさえ、ばらの花に心を動かされるのです。 そうして、大事件が起きました。 |
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ダイアナと私はばらの実(roseberries)で首かざりをつくったけれど、そんなものとても紫水晶とくらべものになりゃしないわ。 『赤毛のアン』 第14章 アンの告白
村岡花子訳 (Diana and I make necklaces of roseberries but what are roseberries compared to amethysts?) |
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野生のばらには実が実ります。果実酒にしたり、ジャムにしたり。楽しみかたはいろいろ。 ばらの実で首かざりを作る・・・デージーやたんぽぽの花輪を作ったり、酸漿の赤い実を糸で吊るして遊んだり。どの国の子供も同じようなことをして遊ぶのですね。 大騒動になった紫水晶事件は八月のできごとでした。 スコッチ・ローズの黒い実や、ドッグローズの赤い実はまだ熟していなかったのかもしれません。 ローズ・ヒップ(rose hip)と呼ばれるばらの実にはビタミンCが含まれるので、北国の冬のビタミン補給に役立ちます。 |
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ハマナス ↑ |
ニュージーランド テカポ湖畔 野生のばら(ドッグ・ローズ Rosa Canina) ニュージーランドに入植したイギリス人は、 種、苗などを持ち込み、故国と同じような 風景を再現する努力をしたのです。
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