すいれん  

  すいれん Water lily (Nymphaea alba) スイレン科ヒツジグサ属

スイレン科スイレン属(学名:Nymphaea・妖精)の水生多年草で、日本には仲間のヒツジグサ(未草)が自生 しています。睡蓮はこの未草の漢名。スイレン属の水生植物の総称。
池などの湿地帯に分布し、地中の泥のなかに地下茎を伸ばし、水面に葉を茂らせ、花を咲かせます。
葉は大きな円形から楕円形で、中心部分に切れ込みが入っているのが特徴。
現在は改良されてさまざまな色の花が見られ、花色は白から淡いピンク、赤など。
睡蓮と蓮。勘違いしそうです。その見分け方は後で。
スイレンは漢字で睡蓮。睡る蓮。モネの絵で知られていますね。朝、花を咲かせ、夜になると閉じる。これを数回繰り返し 、その後花は水に没してしまいます。夜には睡っているように見えることから睡蓮という名前が付きました。花言葉は「純真な心、雄弁さ」。

日本で見かけるスイレンは、「温帯性スイレン」と「熱帯性スイレン」。
温度管理が大切で熱帯性のスイレンは冬の気温が15℃を下回ると枯れ、温帯性のものの耐寒性と大きな差があります。もっとも、温帯性のスイレンも、地下茎が凍っていまうと凍死してしまうのですが。                                        
                                              

 ェーン・アンドリュウスがもうすこしで水の中へ落っこちそうになったの。ジェーンはのりだして、すいれん(water lilies)をとろうとしてたもんで、・・・・・ 
                               『赤毛のアン』 第14章 アンの告白

 (She was leaning out to pick water lilies and if Mr. Andrews hadn't caught her by her sash just in the nick of time she'd fallen in and prob'ly been drowned. )

 "The Lady of Shalott"  
   Alfred Tennyson
 の詩を劇のようにやってみようと思いついたのはアンだった。

 She left the web, she left the loom;
 She made three paces thro' the room,
 She saw the water-lily bloom,
 She saw the helmet and the plume,
 She look'd down to Camelot.
 Out flew the web and floated wide;
 The mirror crack'd from side to side;      ・・・・・・・・・*
 "The curse is come upon me," cried

   The Lady of Shalott.  『赤毛のアン』 第28章   たゆとう小舟の白ゆり姫

                 
                       両方、会津・上三依水生植物園で  (2011.6)

 
ある程度の耐寒性があるとは言え、温帯性のスイレンも地下茎が凍ると凍死してしまいす。島の冬の気候の厳しさから、この温帯性スイレンが自生して いるかという疑問が残ります。

作者モンゴメリが、鈴蘭をリリ ー・オブ・ザ・バレー、水仙をジューンリリーと名付けたのはすでに見ました。
すんなりした、あるいは爽やかな。こういう印象を受ける花を「リリー」と名付ける、ありそうですね。

島に自生するのはどのようなスイレンなのか。
日本のコウホネと同属の「Yellw Pond lily、またはBullhead lily」が島には存在します。
左の写真のように大きな葉を水面に浮かべ、意外なことに小さな明るい黄色の花を水面に浮かべています。
Bullhead」=「カジカ」なのですけれども。
はて、このカジカ。カジカガエルか魚のカジカか。 どちらもありそう。

  スイレンとハスの違いです。               

スイレン (睡蓮)  ハス(蓮)

  葉の形は円形からやや楕円形。
  葉に切れ込みが入る。花色は多様。
  改良されて、赤、白、ピンクなど見られる。

  花は水面で咲く。葉も花も水面に浮く。
  ただし、熱帯性の睡蓮は、下の蓮の花のように水面よりも高い位置で花を付ける。

   
      タヒチ・パペーテの植物園

  葉の形は円形。
  スイレンとは違い、葉に切れ込みは無く丸い。
  葉はサトイモ・里芋の葉のように、撥水性があり、水を弾く。 コロコロと。
  まず浮き葉を出す。この浮き葉が水面を覆うと、立ち葉を伸ばす。
  花は水面よりも上で飛び出しているように咲く。  根は食用(レンコン・蓮根)
  
    「蓮っ葉」 この言葉はどこから?

またもや蛇足。
上記のテニソンの詩のなかの、「
The mirror crack'd from side to side; 」
これを題名にしたアガサ・クリスティの作品 『鑑は横にひび割れて』は、映画の邦題「クリスタル殺人事件」の原作。クリスティが大好きで、映画化された作品のうち、これだけ観たことが無いのです。

「鄙びた村、セント・メアリ・ミードに越してきたアメリカの有名女優のパーティで、招待客が毒殺された。
犯人は? 老譲ミス・マープルが事件の真相に迫 ります。」
「まるでテニソンの詩の 
The mirror crack'd from side to side のような面持ちだった・・・」

    モネの 「睡蓮]  ドイツ・ミュンヘンの美術館