ライラック
ライラック Lilac (Syringa
vulgaris モクセイ科ハシドイ属) フランス語ではリラ 和名はムラサキハシドイ
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家の両側は、一方はりんご、一方は桜の大きな果樹園になっており、これまた花ざかりだった。花の下の草のなかにはたんぽぽが一面に咲いていた。紫色の花をつけたライラック( lilac trees)のむせるような甘い匂いが朝風にのって、下の庭から窓べにただよってきた。 『赤毛のアン』 第4章 「緑の切妻屋根」の朝 村岡花子訳 (A huge cherry-tree grew outside, so close that its boughs tapped against the house, and it was so thick-set with blossoms that hardly a leaf was to be seen. On both sides of the house was a big orchard, one of apple-trees and one of cherry-trees, also showered over with blossoms; and their grass was all sprinkled with dandelions. In the garden below were lilac-trees purple with flowers, and their dizzily sweet fragrance drifted up to the window on the morning wind. ) |
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手違いが起きました。自分は求められていない存在だとの厳しい現実を突きつけられ、昨夜アンは悲しみにくれて眠りについたのです。 ところが。朝。島の6月の朝。 こんな朝にはだれも不機嫌ではいられません。
現実を,言葉と想像力で癒すことの出来るアン。 ブラウニングの詩が口からすべり落ちたことでしょう。
○ 春の朝(あした)」 上田敏 訳 (訳詩集『海潮音』明治38年10月刊所収)
この詩が最終章につながります。
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客間の窓にはすいかずら( honeysuckle )がからんでるし、前の庭にはライラック(lilacs)が植わっていて、門を入ったところにはすずらん(lilies of the valley)が咲いていたに違いないと思うの。 『赤毛のアン』 第5章 アンの身の上 村岡花子訳 ((I think it must have had honeysuckle over the parlor window and lilacs in the front yard and lilies of the valley just inside the gate. ) |
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『赤毛のアン』には、ライラックの花の描写は上の二つの場面だけ。
このライラック、おそらくマリラのお気に入りの花だったことでしょう。 |