万葉の植物  たで  を詠んだ歌
                                 2011.10.11 更新        

 

      
           ソバ(蕎麦)  これは秋蕎麦                 アイ (藍)   
   
      オオケタデ (大毛蓼)                       イヌタデ (犬蓼) 
   
     ポントクタデ                     ミゾソバ (ミゾソバ)

   たで  (万葉表記  蓼)       タデ類の総称 (タデ科)

タデと聞けば「蓼(たで)食う虫も好き好き」という言葉賀思い浮かびますか。あるいは薬味のヤナギタデでしょうか。
いずれも散歩道にこの時期咲いているタデ。
ヤナギタデ(ホンタデ)の写真が無いのが残念です。
タデの語源はただれ。葉を噛むとひりひりすることから。
穂蓼とはこの時期に付けるタデ科の花をいいます。どれも美しく秋の風情を楽しませてくれる花。
どっこい、秋の空の下、ミゾソバは閉鎖花をつけてますます子孫繁栄を目指しています。

  我が宿の 穂蓼古幹摘み生し 実になるまでに君をし待たむ      作者不詳  巻11-2759
(タデの先を摘むと腋芽が出てきます。その芽が伸びて花を咲かせ実るまでの長い長い時間がかかっても、あなたを待っています。序詞。恋の成就を祈る歌。)
 
  みてぐらを  奈良より出でて水蓼穂積に至り.......(長歌)       作者不詳 巻13-3230

 童ども 草はな刈りそ八穂蓼を  穂積の朝臣が腋草を刈れ       平群朝臣 16-3842
(巻16の戯笑歌。 八穂蓼は多数の穂が出てくる意味で、摘む→穂積の掛け詞。平群朝臣が穂積朝臣をからかいます。それにしても)

    石麻呂に 我れ物申す夏痩せに よしといふものぞ鰻捕り食せ      巻16-3853
    痩す痩すも 生けらばあらむをはたやはた 鰻を捕ると川に流るな     巻16-3854

     いずれも大伴家持の歌。そして下のような歌も。同僚とはこういう関係にあったのですね。

    仏造る ま朱(そほ)足らずは水溜まる 池田の朝臣が鼻の上を掘れ  大神奥守 巻16-3841   
     いづくにぞ ま朱掘る岡薦畳 平群の朝臣が鼻の上を掘れ       穂積朝臣 巻16-3843