万葉の植物  なら   を詠んだ歌
                                 2012.3.1更新

 

    
 クヌギ 左は春咲く雄花 雌花は葉の付け根に小さく咲く ミズナラのどんぐり オオナラ、オオガシワとも)


   
なら  (万葉表記    )     コナラ  ミズナラ ナラガシワ クヌギ アベマキ などのブナ科の総称

日本全国に分布する落葉広葉樹。日当たりの良い山野に、普通に見られる里山の代表樹種です。
里山は、人間の生活に大いに利用されていた場所で、入会地の形で現在まで残されていることもあります。
那須にも過去入会地として利用されていた土地が切り開かれ、新しい住宅地となり、林と住宅が入り混じった場所がありますが、過去の習慣のまま新住民の土地に入り込んできのこや山菜を取って紛糾の種になることもあります。
下の歌の「慣れ」を引き出すほどよく見られた風景なのでしょうが。

10〜20年 ごとに樹木を切り倒し、薪の材料や、椎茸のホダギとして使い、その後萌芽 してくるヒコバエの生長を待ち、といったある周期で利用していました。現在、薪炭材 として利用されない里山の林床は荒れ、照葉樹林に代わりつつあります。

右はミズナラどんぐり(堅果)。帽子を被っているのが可愛らしいですね。正しくは「小さな鱗片状の総苞片が瓦状についた殻斗 」と言います。「ハイイロチョッキリ」というゾウムシの仲間に卵を産み付けれら、切り落とされたミズナラの枝先です。
ブナ科全体に言えますが、秋にはその年の天候、気温などによって赤茶色または黄色く黄葉します。

  み狩りする 雁羽の小野の櫟柴(ならしば)の 慣れはまさらず恋こそまされ    作者不詳 巻12-3048

  (「み狩りする 雁羽の小野の櫟柴の」は、「慣れ」にかかかる序詞。櫟柴はナラ類の雑木を指し、特にクヌギを言います。「慣れ」を引き出すための序詞なので「クヌギ・櫟」を「なら」と読ませています。)