2004年1月〜9月     にわか大工腰痛を抱え奮戦するの記2004年

  新しい年が明けたログに「新世界より」が響きわたる。

ログを建てていたこの100日間は、相棒とYamaとの性格の違いを思い知らされる日々だった。

相棒は性格真面目、愚痴はこぼさず、常に一所懸命。目的意識が強く、それに向けて走る。
目的に向かって一直線というのは、周囲が見えなくなるという結果にも繋がりかねない。

ひとつのことに執着し続ける姿に圧倒されるばかりだ。一途になにかを追い求めるというのは狭量に結びつかないか、と凡庸なるYamaは呆然とするばかり。

相棒を知り己を省みれば百戦危うからず。
これって喧嘩に勝てるということ?心しておこう。今年のログ建設のはじまり。   

 

1月2日   仕事始め     

「二日から仕事ですか。はったらきもんですねぇ」。
犬連れの友人が立ち寄ってあきれる。
相棒は北側に取り付けた一重ガラス窓を二重にする工作を始めた。

断熱材(ポリウレタン)の残材を細長く切り、窓枠と壁との隙間にはめ込んだ。室内側の窓枠を新たに作り、このなかにガラスをはめ込む手順だ。
 

1月3日〜11日

外観は変化無く、窓枠を作っては磨くという根気のいる仕事が続く。
 

1月12日 雪

舞台美術家の背妹河童さんが描く絵のように、相棒は室内俯瞰図を描き、工房の内部のどこに電動工具を配置し、どうやって工具を整理しようかと思い悩んでいる。

間に合わせで室内を仕上げていくと、とりとめなく使い勝手の悪い工房が出来上がるのは目に見えている。
しかし、ネックになるのはやはり費用だろう。な、そうだよね。
 

1月13日 

そこで相棒、今年の税金の還付金と保険の払戻金の計算を始めた。
予定外にかさむ費用に充てるつもりらしい。

午後、Yamaのご機嫌を取るべく庭の掃除をし、40日前に切り倒した楢の木をシイタケのホダギ用に切りそろえている。働き者なのだ。
「食わせてやって顔色を見る」という川柳を思い出した。
 


1月14日 雪     夜来の雪が20センチに。

外仕事のできない相棒はカタログショッピングを始めた。
木工関係の本にはこれでもかこれでもか、というほど各種の木工工作工具が紹介されている。
欲しいが欲しいに火を付け、燎原の火のごとく燃え広がる。
相棒の目に欲望の火が燃えさかっている。
わかるわかるよ。
 
 

1月16日 二重窓ができた。

窓枠を作り上げ、ガラス店で購入したガラスをはめ込み、二重窓を完成させた。

カナシイカナ。素人の工作のせいか、ガラスの隅にひび割れがはいってしまった。
 


1月17日   室内の棚を作り始める。

寒中にふさわしく積雪30センチ。
ログ内の内装工事に取り掛かる。
棚板は残った野路板を流用するが、補強のためにレッドシダー材(米杉)を買い込んできた。

ひと目で見渡せるように、ぶらぶらぶらりと工具類を壁に取り付けたフックにぶらさげていく。
 

2月27日     ログの中は?

内装をほぼ完成させた。
零下の朝が続くなか、エアコン取り付け、棚作成、工具の整理などをすませ、ようやくログ(牢ではありませぬ)の中でくつろげるまでになってきた。

厚さ5センチの断熱材の効き目はすばらしい!
1時間エアコンを付けると、半日は暖かい。天窓から冬の日差しが降りそそぐ。

図書館から音楽CDを借りてきた。
ベートーベンが聞こえてくるかと思うと、広沢虎三の「唄入り観音経」が流れてくる。
(観音経・・・分かる人には分かるしろもの)
自由自在に、きままに、これぞ「男の隠れ家」。




 


雪が融けはじめ、相棒はよけいに忙しくなった。防腐加工をしてある2×4材で南面のデッキを作った。
予め基礎を打って沓石を立ててあるので、比較的簡単に工事が進む。
釘穴はペイントシーラントでコーティングした。
水をはじくので防腐効果があるはず。
デッキの下には水勾配をつけた波板を張り、下にしまってある材木が濡れないように考えてある。

Yamaは何をしているかって?
もちろん庭の春仕事・・・だれか食事の用意をしてください〜。
朝から晩まで庭をほじくりかえしたい〜。

南庭に残っていた根っこを掘りあげるのに10日かかり、シイタケの駒打ちにも2日費やす。

いつもの癖で、ちょっと寄り道をしてカーヴィングの真似事をしてみたりもする。

3月20日〜27日  東面のデッキ作成

雨樋を付ける。
キッチンガーデンを掘り起こし、東面デッキ基礎用の穴を掘る。
ぐり石をいれ転圧しレベルを出し、木枠の中にコンクリートを流し込む。
養生をおえたコンクリートの上に束石を置き、さらにレベルを出す。
束柱を立ててコンクリートで固定する。
根太を張り、2度の水勾配を取って防食加工されたSPF材を貼る、という一連の工程をこなす相棒。
もう手馴れたものだ。
左端の角材は材料が余ったから立てておいたと相棒。(???)
雨樋職人にもなる春の日。日焼けが怖いよ。



 

4月3日 第3の上棟  相棒、再び猿に。

Yamaは昨夜から緊張気味。快晴無風の今日はいよいよ第3の上棟の日だ。
冬の間に準備しておいた6個の自作断熱窓を、トップライトの下に入れ込む。
この工事を今日中に終えないといけない。

まずトップライトをすべてはずす。
サイズが合うのか心配していたが、きちんと合った。さすが元エンジニア。
世の中ときどき「イスカの嘴」になるからなぁ。

 


元のようにトップライト部分を取り付けて、防水処理に万全を期す。
これでトップライトには三重のポリカーボネート窓が入って断熱性能がぐっと上がった。

最後まで事故がなくて、なによりなにより。

      
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期末が過ぎたけれど、決算書の提出はまだ?

那須にも春がやってきた。
忙しいいそがしい。
お花見に忙しい。そばの食べくらべにもいそがしい。わが家の庭にも水仙が750本咲いた!

ん?でも・・・。ミニログ建設の収支決算書がまだだった。

縄ぬけは許しません、相棒殿。
 


4月7日

完成記念樹を植えた

ミニログ完成を祝って記念樹を植えた。
早咲きのさくらの木「陽光」、樹高4メートル。

相棒は自作ログを見ては春日のなか、陶然としている。

しあわせなのは我が作品を見るとき、だろうか。
 

続く?おしまい?   ほかの遊びを見つけよう。

「ミニログを建ててください」という依頼があったらどうする、相棒?
根気と元気が残っている?
のちのちのためにマニュアルを作っておこうか。BIGBOX社の説明書は分かりにくいところがあるから。


9月 ようやくデッキの手すりができた。

長い夏のあと、秋の初めのこの時期にようやくデッキの手すりを取り付けることができた。
挿し芽で増やしていた「クレマチス」を絡ませ、足元にはラッパ水仙の球根を埋め込んだ。
来春の準備におこたりはない。
めでたい。

デッキの上にどんぐりが落ちてきて、うっかりすると転びそうになる。
 

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