2003年6月〜12月  にわか大工腰痛を抱え奮戦するの記


デッキ、ベンチ、トレリスづくりと相棒の木工工作熱は、とどまるところを知らず、病膏肓に入る。
ミニログを建てたいと、建てるぞ!との間はほんの一歩の距離だった。建てるぞ!のあとは例のごとく目的にまっしぐら。
こんな、「目的地一直線寄り道なしあとさき考えず反省なし波高し」の相棒とこれから数ヶ月間付きあうのか。

これはトホホの秋になりそう。究極の工作・・・それは家づくり。
あたふたあたふた。  ミニログ建設日記の始まり。

建てるのは、BIGBOX社が北欧フィンランドから輸入しているログハウス「MERI(海)」。
マシンカットログの肉厚50ミリ。畳10畳の広さ。相棒の遊び小屋としては十分だろう。
(ちなみに単位のミリは設計やさんたちの標準語。)
これでは那須の寒さに耐えられそうにない。

そこで外壁と床、屋根下に断熱材を張り付け、さらに木の壁で覆うことにした。
二重壁構造、低気密外断熱のログハウスになりそうだ。
ログハウスの欠点である室内の暗さをカバーするために、トライアングル型の長尺トップライトを、切妻屋根の上に設置する改造案を採用した。

 Self Build の記録  
 
     準備期間 2003年6月〜9月

 

 6月〜8月  整地する

建設予定地に生えている樹を切り倒し、整地する。
根っこ堀りは樹とのなれあい、だましあい。
樹高15mを支えていた根は、相棒の華奢な腕よりも太い。

   
 8月  ヒッパラー登場

強力な助っ人あらわる。その名も「ヒッパラー」。
これは働き者。
仕事はいい道具あってのこと。
幹が倒れる方向は、これを使って決める。
シマシマロープは「とらロープ」というらしい。
阪神頑張れ!大阪の景気浮上がかかっているぞ。
 

 
 

9月2日 防腐処理をする

 

土台になる木に防腐剤・クレオソートを塗る。
しかし、クレオソートは環境保護の観点から、この6月に販売禁止になってしまった。
やはり臭い。
洗濯物を干せない。
 

9月6日 地縄を張る

これこそ縄張り。
いかに狭く見えることか。
これでは犬小屋でも作るのかと思われてもしかたがない。

ところが建ちあがってみると、室内は結構広く感じるはずだ。
これは母屋を建てる時に経験済み。
建築基準法には「境界線から3メートル離す」とあるが、3メートル600ミリも距離をとってある。
 

 

      基礎工事  2003年9月
 9月17日〜    基礎工事開始

これは専門家にお願いすることにした。大事な基礎だ。大量の生コンクリートや鉄筋を扱うのは素人には無理、無駄が多い。
相棒は見積りを取り、契約時に仕上がり精度を厳しく指示した。
するとさすがプロ、「まかせてください」との言葉が返ってきた。栃木の人は律儀だ。
 



          

 


9月17日  遣り方

トランシットという器械を使って水平取りをする。
角度や距離までわかる優れもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

いちど小窓を覗いてみたかったが、言い出すチャンスがなかった、残念。
仕事の邪魔はできない。
オバサン道を究めていないな、まだ。

 
9月17日 砕石を投入する

 

いよいよ掘り方始め。
GLから深さ40センチの穴を掘り、穴の底に栗石代わりの砕石を入れ込む。
ユンボの先のショベルですくい取った砕石を、狙いたがわず穴に落としていくわざに思わず、
「うま〜い」。
 


 

9月17日  転圧する 

砕石を自走式転圧機で転圧していく。
ハンドルを切らないと、いつまでもまっすぐ走っていく。
ぴょんぴょんと、跳ねるようにこまめに働く姿は可愛い。

それもそうだ。横腹にこの子の名前を書いてあって・・・Robin(駒鳥)とあった。
 

 

 

9月18日  鉄筋を組む

基礎配置図に従い、600ミリ角の型枠に、13丸の異型丸棒を切って曲げ、鉄筋を組み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 


丸棒を切る器械がまことに原始的なのに驚く。
その昔、牛のエサを切るのに使っていた「押し切り」によく似ている。
挟んで切る、挟んで切る、の根気のいる仕事だ。
 


9月19日 墨入れ

珍しいものを見つけた。
壷の上に亀が身を乗り出している、鶴亀型墨壷。
墨壷とは、大工さんや石工さんが直線を引く道具だ。
糸巻きから、墨汁を浸してある壷を通って糸が出てくる。
糸の端に付いている小さな錐を目指す場所に刺し、墨糸を引き出して張り、その糸をはじくとまっすぐな線が引ける。


 
9月19日  ベースコンクリート打ち

鉄筋を組んだ上に生コンクリートを流し込んだ。
生コンの厚みは約15センチ。
これで鉄筋への押さえがきく。

 

 

 

 

 

 


明日は、立ち上がっている鉄筋に横輪をはめ、ボイド菅を上からかぶせ,生コンを流し込むという最終工程を予定している。しかし、雨の可能性60%という不吉な天気予報が・・・。
 


9月21日   相棒はパラノイアだ

台風15号がもたらした雨のなか、相棒はデッキ部分の基礎の上に沓石を立ち上げ、アンカーコンクリートを打った。
コストを下げるためデッキ部分は外注していない。
しかし雨のなか、ずぶずぶと濡れそぼれながら嬉々として働く姿は、ほとんどパラノイア。
向こうに見える黒いかたまりはシイタケの原木。
二兎を追うのであった。


9月22日 コンクリート注入

基礎コンクリートの上にボイド菅を立てて、コンクリートを注入し 、アンカーボルトを取り付けた。
ところが、アンカーボルトの中心間隔が、工事前に相棒が指示した数字に対し、プラスマイナス5mm程度の誤差があることが判明した。
さてこれは?どうしたものだろう。
相棒が用意している土台の穴とずれができてしまう。
 

  9月24日 基礎工事終了

「土木やさんはセンチで 、機械やさんはミリで、電気やさんはミクロン」で勝負すると聞いたことがある。
誤差の調整はあっという間だった。
カンカンとボルトを叩いて終わり。しかし、ログの重さ(静荷重)に対して直角に取り付けられていないボルトの強度は十分なのか?
掘り返した土を埋め戻し、砕石を敷いた。基礎工事は終わり。
我が家の工事に13工数も投入してしまったけれど、これでコスト的にあうのか不思議だ。
相棒は、のちのちのデッキ工事のためにと、杭と水平杉板をもらう。
「いやいや、無理は言いません」などと心にもない科白を口にする相棒の頬はゆるみっぱなしだ。
三和光産のみなさんに感謝。

 

1
     ログの組立工事 2003年10月1日〜12月
 
9月26日 デッキ部分を製作する

デッキ用の束柱を立て、仮設作業用のプラットフォームを作る。
デッキの上に張ったコンパネは、屋根材に転用する。
ほぞを組んで繋いである束柱を見つけたぞ。
こんなところでコストダウンを考えなくてもいいのに・・・。
 


9月27日 本体の土台製作

 

あらかじめ夏に作っておいた土台を設置した。
アンカーボルトで基礎と締結する。

 

 

 

 

 

 

この土台は本来不要のはずだが、相棒は地面からの湿気が直接ログ本体に影響を与えないように、土台を用意したようだ。
もちろん土台の材料は防腐処理をしてある。
 

 
9月28日 臨時の床を張る

普通ミニログを建てる時には、足場を組み外壁から組み上げていく。
ところが相棒、めっぽう高いところが嫌いときているので、まず部屋の中にコンパネを張り、臨時の床を張った。
この床の上に脚立を立て足場板を渡し、内部から壁を組み上げていこうという魂胆らしい。

はじめに、薄いベニヤを張り、その上に透湿シートを張った。
 


10月1日 ログ資材搬入

相棒は朝5時に起きてトラックの到着を待っていた。
うろうろ。
秋祭りの朝の子供になったようだ。
大量の木材が届いた。
フィンランドのパインの香りがする。
庭の真ん中にクレーンを積んだトラックが止まっている風景には、めったにお目にかかれないだろう。
さて、我が家のお祭りのはじまりだ。
 


10月2日 根太を据える

時は秋、日はあした。裏庭に光満ちて、相棒は根太を据えつける。
根太の上にコンパネを張り、作業足場ができていく。
ログの周囲は雑木林なので、木洩れ日にパイン材が反射してうまく写真が撮れない、特に晴れた日の午後は。
 

 


10月3日  有朋自遠方来

千葉から助っ人あらわる。相棒の親友夫婦と愛犬ゴンちゃん。
金時さんのように、気は優しくて力持ちの友人と、元国体選手のおつれあいはまことにお似合いのカップルだ。
仕事がはかどっていく。
ほっとする反面、楽しいことが次第に少なくなっていくのが寂しい。

おいしいお酒が無くなっていくように。
まだ半分か、もう半分か。
ちなみに上の金時さん、お酒が入ると本物の金時さんのように真っ赤になる。

Yamaは施主のオクサンなのに、ご飯当番を仰せつかり、ログ組みにあまり手を出せないのがすこし残念だ。











ごんちゃん

 


 


10月4日 初期調整する

正しくログが組まれているかどうか調べてみる。
誤差は対角線で3ミリから5ミリ。
対角線をはかる治具を作って調べるところがいかにも相棒らしい。

どうにも収まりの悪いパーツが出てくるのは仕方がないのかもしれない。
押しても引いても叩いてもねじれはねじれのまま。そこでそのパーツに命名「問題児」と。
一旦放校処分するも、ほかに余裕資材がなく、再度登場する。やはりてこずる。
 

 


上面の水平が出ていればいいんですよ、とログ建築経験者は言うが、やはり気になるところだ。
かけやの音を聞きつけて、来客、珍客が多い。

    かけや


 10月5日   横梁を入れる

助っ人ご夫婦は愛犬を残して磐梯山へドライブに出かけた。
那須の山は色づき始めている。
磐梯はどうだろう。
相棒は脇目もふらず11段目のログまで積む。
妻面が現れてきてそれらしく見えてくる。

いよいよ明日は上棟か。
餅まきでもするかな。
 


10月6日   いよいよ棟上げ

晴れ。天は我に味方す、と相棒。光秀さんみたい。
とにかく、こんなに晴れた日が続くのは珍しい。
躯体のねじれ(最大9mm)を近くの立ち木を利用して、ヒッパラーで直す。
正しい姿に矯正されたログ本体に、軽くすんなり、ストンストンと小梁、棟梁が決まっていくのを見ているのは嬉しい。
午後2時56分、とうとう上棟できた。
蕎麦茶と餅菓子で祝う。

今夜はまたまた宴会だろう。



10月7日   椿事が起きた

ところが、喜んだのもつかの間、椿事が起きた。
棟の梁(A)と、溝にしっかり打ち込んである小梁(B,C)壁の上の梁(D)は本来直線で結べるはずだ。それを見越してすでに相棒は、妻面の一番上に乗せてある三角の板を釘で打ちつけてしまっている。
しかし、結べない。棟の梁(A)が10mm飛び出している。おかしい。
代理店に聞くと「AとDを結び、その線上に小梁(B、C)を下から押し上げるようにあわせる」という返事があった。
こんなことはどこにも書いていない。
 


相棒、苦労して小梁B・Cを上に押し上げ、固定するために下に木片を挟み込んだ。

小梁が入るべき溝の深さと梁の深さがあわないなんて、フィンランド 人の頭の中はちょっと変っているのかな。

明日は屋根を張り始める。晴れているうちに。
 

10月8日  野地板の幅にバラツキが ある

野地板(屋根板、内面は天井板。
(2940mm×87mm 片屋根に55枚張る)の幅にバラツキがあることが分かった。
最大1.5mm。このまま張り続けると末端で帳尻が合わなくなる。

そこで相棒は考えた。
起点を決めて目盛りを付けそれに合わせてきちんと張っていこうと。はは。
こういうことを考え実行に移すところはいかにも相棒らしい。
Yamaなどは「最後の板を形に合わせて切ればいいじゃん」と考えるけどなぁ・・・。
たったイチテンゴミリではないか。
幸い晴れが続いているが、二重の壁で隠れない部分(ノッチ=交差部)に防腐・防カビ・耐候塗料(キシラデコール)を塗る。これでひとまず安心。

10月9日  朝夕冷える 

寒露。今朝の気温6℃。
これは大阪では12月の気温だ。
夜露を防ぐため、大事なミニログに上から青いタープをかぶせてやる。
立ち木を利用し、両側からタープを引きずり上げる仕組みを考えた。
山から竹を切ってきて、タープの端に骨材として組み込み、一気に引き上げる工夫をしてある。

竹取のおじさん、姫はうちにいるぞ。
 


10月10日  屋根を張る

梅雨時の材木膨張に対処するため、野地板と野地板の隙間をどのくらい空けて張るか悩む相棒。
2mmと決めたらしい。
「なぜ2mmなの?」と訊くと「なんとなく」と。なるほど愚問には愚答が返ってくる。

長尺トップライトの設置予定場所を空けて、野地板を張っていく。

その分野地板が余る。これはもちろん活用する。
床下のぼろ隠しの柵を作ろう。
 


10月15日  スペーサー取付け

さてこれからが相棒のがんばりどころだ。

いよいよ屋根の上に断熱材を取り付け、更にその上に新しい屋根を乗せるという工程に入る。
屋根材(アスファルトシングル)を張るのと同時に、長尺のトップライトを設置する工事にも取り掛かる。
これは標準のミニログには無い、相棒独自の仕様だ。
今日は、スペーサー(2×4材)を屋根に取り付け、断熱材ポリスチレン(商品名スタイロフォーム。ダウケミカル社製)を取り付ける隙間の部分を作った。

高いところでの工事だから、相棒が屋根に上っている間は家を空けられない。
風よ吹くな。

10月16日  鼻隠と破風の取り付け

腰痛に続き相棒に新しい敵が現れた。
それは花粉症。

屋根の上で太陽に思いきり当たり、秋の風に吹かれているうちに発症。
鼻をぐずぐずチュンチュン鳴らしながら、鼻隠(はなかくし)と妻面側の破風を取り付けた。(シャレにもならない)

これらは屋根板から下に向けて垂れ下がるように取り付けるのが本来のやり方だが、屋根の上に断熱材を張りこむという相棒の方法だと、屋根から上に向けて取り付けることになる。
断熱材の厚みのぶん、破風板の長さが足りない。
つぎ板を工夫した。

 


10月17日・18日  断熱材を張りこむ

トラックを借りて、大量の断熱材を運んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 


スペーサーの厚みにあわせてポリスチレン+発泡スチロール+ポリスチレンのサンドイッチ(85mm)を作り、それをクランプ(万力)で止め、のこぎりでガシガシと切っていく。

 

 

 

 

 

 

 


時ならぬ雪が舞う。実はこののこぎり、ログの基礎部分に生えていた楢の樹を切り倒した時に使っていたもの。
何とかと何とかは使いよう。ホントだ。




10月19日   屋根を張った

断熱材を間に屋根が二重になる。

いままで作業用として使っていた仮の床のコンパネを剥がし、屋根の大きさに合わせて切る。
さて問題は荷揚げだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



長さ7メートルの梯子に簡易スライドリフターとして働いてもらおう。
屋根が傷まないようにパットを当てているところなど相棒、芸が細かい。


おっかなびっくり。命綱を腰に結んで作業を進めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に軒先水きり鉄板(カラー鋼板)を打ち付ける。
「ふ〜ん、これがフィンランドの鉄か」と鉄技術者の相棒。
 

  10月20日   屋根張りのレクチャーを受ける

BIGBOX社の那須地区代理店、那須山遊家(那須サンユーホーム)のI氏来訪。屋根材の張り方のレクチャーを受けた。
I氏は常に「大丈夫ですよ」とおっしゃるおおらかな人。この日屋根用のコンパネをすべて張り終わる。

インターネットを使って朝、昼と天気を確認する。このページのレーダーアメダス情報は気象庁の天気予報よりも短期予測が正確だ。おおいに役に立つ。
 

10月21日   
アスファルト・ルーフィングを葺く

飾り用の破風を付け終える。おぉフィンランド!

タッカーを使ってカチカチ、ルーフィング材を打ちつけ、いよいよ最終屋根材(Asphalt Shingle材)を葺く工程にまでたどり着くことができた。

「ぼく屋根屋になれるなぁ」と相棒。高いところに慣れてきたようだ。
しかし、無理な姿勢での釘打ちはやはり腰に来た。「屋根葺きが一番しんどくて面白くない」とのたまう。
こらこら、弱音を吐くんじゃない。


半日で、屋根全体の4分の1の面積を葺けることが分かった。
ゆっくりやろう。
 

   

 

 

 

 

 

タッカー

 
10月22日  終日雨

ZZZZZ・・・・・。ZZZZZ・・・・・。ZZZZZ・・・・・。 
山採りのまいたけと米沢牛で、今夜はすき焼き。
 

10月23日  屋根を葺き終えた  Yamaは庭仕事(夏の花の整理、ビオラの植え付け)に忙しい。

相棒はこの日、屋根を葺き終えた。
フィンランドでの梱包ミスだろう。
釘が全体量の6割しか届いていない。急遽BIGBOX社から取り寄せるも、やはり不足している。
地元の金物店で同じような釘(亜鉛メッキされた釘)を購入し、無事に屋根葺きを終えることが出来た。


 

 10月24日〜28日  
 長尺トップライトを作る  
        
 

次は長尺トップライト作りに取り掛かる。

まず、木製フレームを作る。
下屋根と上屋根の勾配が異なるので、部材の取り合いに苦労する。
時間ばかりかかって進まない。

 

 

 

 

 


アンカーボルトでフレーム部と下部屋根を止めるように設計してあるが、違う部材3個にそれぞれドリルで穴を開け、つなぎ合わせた時点で50センチのアンカーボルトがまっすぐ通るか?

トラス型の三角フレームが出来た。 
 


 10月29日〜31日  アルミサッシを作る

 

 

 

アングル型アルミに、中空ポリカーボネート板を挟み込んでビスで止め、アルミサッシを作る。

 

 

 

 

 

グラインダーで仕上げをする朝、両隣が留守でヨカッタ。


中空ポリカーボネートは、ガラスよりも安価で、耐候性に優れ、上部からの衝撃に強い。
 


 11月1日〜2日

板金工にもなる

屋根葺き職人から板金工へと変わり身の早いこと。
レンガ割りでカラー鋼板に衝撃を与え、(早く言えばドンとたたく)そこから、気長に曲げていく。

これはフレームの最上部に乗せ、雨除けに使う。
 

11月3日  トラスを仮組みする

これが相棒らしいところ。
地面の上で仮組みをして全体の調子を見る。

木を相手の仕事だから、微調整がいる。
現実に取り付ける時にはさらなる調整が必要になる。
現場あわせ、これに手間取るだろうと予測する。

11月4日  第2の上棟  トラスを上げる

秋色濃し。気温15度。
やや北寄りの風。いよいよ第2の上棟だ。
屋根の上での作業だから命綱をしっかり付ける。「ま、いいか」と思った時はすでに悪魔が心に入り込んでいる。安全第一。
午後3時、予定通り上がった。

ところが、夜。ひともんちゃくあった。このミニログMERIのデザインはそれだけで完結している。
そこにトップライト上屋根を乗せるとまことに不細工に見えることに気づいたのだ。
まるでできそこないの太陽熱温水器みたいだ。
「このまま続行」は相棒の意見。「全体のフォルムが崩れる、やりなおそう」とはYamaの主張。
結局いつものように?Yamaのほうが強く、明日からやりなおしに取りかかることになった。
皆さんのお宅ではどうですか、どちらが強い?

11月5日  トラスの解体  部材調達 

朝一番にお客あり。
「常に私の意見が一番強く正しかった」と彼女。そうでしょうそうでしょう。我が家もそうだから。
Yamaは増えすぎたミョウガの移植。
相棒は屋根に上がり、トラスを解体する。
どちらも非生産的な仕事だ。無口×無口。

ホームセンターで新しく資材を調達し、相棒は帰るなりキシラデコールを塗る。
準備おさおさ怠り無い。

ところこがこのあと、もう薄暗くなってきているというのに、相棒は樹高14メートル、樹齢25年のくぬぎの木を4点確保の方法で切り倒し、しいたけのホダギをこしらえた。
超マメな相棒。いさかかはた迷惑でもあるマメさだ。

11月6日  部材を作る。

雨。暖かい秋の日。ガレージに座り込み設計変更した部材を作る。
こつこつ。電動丸鋸が欲しいと相棒。のこぎりと、のみと、かなづちで仕事をしている建築家はほかにいないだろうと威張る。マキタかリョービがいいなぁ。
 


11月7日  2回目の仮組み

アルミサッシは今までのものを流用したので、まずまず仕事がはかどり、午後2回目の仮組みをした。
改訂版の上屋根は本屋根の勾配(15度)と同じなので、今度はすっきりとおさまるはずだ。
3度目の正直がある?と訊くと疲労コンパイしている相棒がグーと言った。
このグーはグーの音、それともGood?
 


11月8日  トップライトの上棟

さてさて、ようやく改訂版のトップライト(1000mm×2300mm)の取り付けの日だ。

部材を本屋根に取り付けるのに時間がかかったが、まずまず予定通りの進捗状況だ。
雨仕舞には念には念を入れ、発泡ウレタンフォームで隙間を殺し、屋根との取り合いの部分には新しくアスファルトシングル材を重ね葺きした。

防食テープ、L型アルミ、カラー鉄板、ステンレス釘、ビス、コーキング材などを総動員する。
 

 

 

 


中空ポリカーボネート(商品名:ツインパネル・宇部日東化成(株))は、光の透過率80%以上で、内部から見ると木組みの間から秋の空が透けて見える。

 

 

 

 

 

 

 

これからこの下に取り付ける、超断熱三重ガラス窓を製作する予定だ。

しかし、シイタケの種駒1000個ををホダギに打ち込む仕事も待っている。相棒は常に忙しい、または忙しがる人間である。

なぜ相棒は天窓にこだわったのか。
柱の役目をするログの交差点から一定の距離には、開口部を設けることが出来ない。
ログハウスの欠点は「内部の暗さ」だと言えよう。

この欠点をおぎなうために、面積が同じだとすると、壁にある窓の3倍の明るさを取り入れることができる天窓を付けることにした。ログの中で絵を描きたいし、彫刻も楽しみたいとなるとやはり自然光が欲しいと考えたのだろう。
天窓の欠点は、雨仕舞いが難しくトラブルを起こしやすいこと、暖冷房の熱が逃げやすく、外気の影響を受けることだ。

11月10日  雨 10℃  
床に断熱材を張った。

屋根が出来上がるのを待っていたかように冷たい雨が続く。
根太の高さにあわせて90mmの厚みの断熱材を張り終えた。明日はこの上に防水シートを張り、いよいよ床材を張る予定だ。
地面から800mmの高さの上に土台+ベニヤ板+防水透湿シート+断熱材+防水シート+床材という順に重なることになる。

  


〜11月15日   床を張り終えた。

那須山遊家(那須サンユーホーム)のI氏のアドバイスどおり、床張り専用の釘(50mm、アマテイ社製)を用意した。
当て木を当てながらカケヤで床板を叩き込む。45度の角度で根太に釘を打ち込み、仕上げに釘しめを当ててかなづちで叩く。これを床板55枚×10箇所=550回も繰り返して、相棒の手と指はごちんごちんに固まってしまった。

ひたすらひたすら・・・単調な作業だ。最後の床板を打ち込むのに苦労する。叩きしろがないのではめ込むしか方法がないというのに、いやに床板が堅くててこずっていた。
結局、なんとかごまかすという相棒のいつもの奥の手を出してきて、一件落着。

明日は床に塗料を塗り、巾木を取り付ける予定だが、北風のなか、塗料の乾きが悪いのではないのか。心配。
裏庭に資材の山がいくつかできて青いタープが風にはためき、まるでホームレスの集会場のようだ。


11月16日  床に塗料を塗った

床を保護するため、油性木工用着色ニス(ウレタンニス)を塗った。色はライトオーク。
このまま二日間乾燥させ重ね塗りをする。

工程の初期、みるみるミニログらしい形になっていくのを心躍らせながら見ていたのと違い、最近は出来上がっていく過程に驚きがない。
なんと贅沢な。慣れるということはこわいものだ。
電気工事の手配をした。
組立てからのセトリングは約5mm。
この数字だと工事には問題ないだろう。


11月18〜22日 巾木と廻縁を取り付ける

床に2度目の塗料を塗り終えた。
乾くのを待って巾木と天上廻縁を取り付ける。
床と天井を向いての作業が続き、相棒は腰と首が痛くなったようだ。

ネクタイを締めたように部屋がきりっとした。







目立つ場所なのでかくし釘を使った。
(かくし釘・・・このまま打ち込み、とび出している青いプラスチックに当て木をしてかなづちで払うと、ぴょんと取れる。ほとんど釘痕は目立たなくなる。)

電気工事の見積が届いた。高い!
予想より高いので驚く。
われわれは甘く見られたのかこれが妥当なのか。

エアコン取付けは別な業者に頼むことにして、値引交渉にはいる。さて、いかがなりますか。
 

 


11月25日  外壁に間柱を取り付けた

コストダウンを目指し相棒は工夫を凝らす。
市販のスチール棚の柱を切断機で切って作り、グラインダーで面取りをした。
すでにこの金物には、長さ30mmの長穴があいている。
この長穴を、ログには避けられないセトリング(ログ材の乾燥による沈み込み)が起きた時に、外壁板にその影響が及ばないようにするために利用する。
この間柱は、外壁に断熱材を張るときのスペーサーの役目も果たす。


ちなみに、この日までにすでに7mmのセトリングが発生していて、将来更に10mm程度のセトリングが起きると予測しているとのこと。


(* この9月に起きたブリジストン火災は、溶接の火花が飛んだのが原因らしい。なるほど、見ていると怖いくらいの火花の勢いだ *)
 

  
11月27日〜29日 電気工事が終わる

電気工事の値引き交渉に成功。
言った者勝ちというのは内心忸怩たるものがあるが、背に腹は代えられない。
照明、コンセント取り付け、エアコン取り付けの準備、テレビ受信線の引き込みと至れり尽くせり。
栃木の若者の礼儀正しさにはいつもながら驚く。
 




11月27日
はじめて窓を取り付けた。
とたんに壁が生きてくる。かわゆい。

間柱をスペーサーとして利用し、本体の外壁に断熱材を張り込んでいく。
電気配線の上に張る断熱材はそこの部分をくり抜くという手間をかけた。
「なに、時間はたっぷりあるから」と大雨のなか、相棒はやせ我慢。
いい男を演じるのは辛いものだ。
 

 

 

 

外壁に外壁を付け足す

断熱材の上に防風・防水・透湿シート(商品名:ツユガード)を張り、下部から外壁材(17mm×107mm)を積み上げるように張っていく。
この外壁材は、17mmと薄いこと、荷重がかからないことから、セトリングはあまり起きないと見ているが・・・。
 

11月28日   疲れてきたかな?

どうやら相棒、長丁場の工事で疲れがでてきたようだ。計算ミスを続けてする。
まず金具取り付け用のワッシャーの数を間違えた。続けて間柱の厚みは50mmなのに、55mm厚の断熱材を張り込もうとしている。
Yamaは急いで金物店へワッシャーを買いに。相棒は5mmの厚みのベニヤ板を間柱に長さに合わせて切る。
おぉ。なんだなんだ。よけいな仕事が増えたなぁ。
 

11月29日   終日雨。

雨の日。「すきやき」どころではない。
相棒は雨の中、5mmの長さに切ったベニヤ棒をねじくぎで間柱に取り付けて厚みを足していく。
午後天窓の雨返し部分に使うカラー鉄板を板金加工する。
それやこれやで相棒の指はごちごち。しかし、この雨がいつ雪に変わるか。那須の天気はきまぐれ。
いそげやいそげ。山から小僧が降りてくる。

 11月30日〜12月3日   工事は同時進行していく

間柱(スペーサーに使う)の取り付け、断熱材の張り付け、防風・防水・透湿シート張り、外壁板(17mm)張りと工事は同時進行していく。終わった面にはすかさず、防腐・防カビ・耐候塗料(キシラデコール)を塗った。

男脳の持ち主である相棒は、同時進行で作業をしている時に話しかけられると、とたんに不機嫌になる。
このことは長〜〜い付き合いで良〜く判っているので、Yamaも極端に無口になる。 ・・・メシ風呂寝る?


12月3日  北窓を開ける

「北窓を開ける」は春の季語だが、この季節に北窓を開けるとは・・・。
窓位置をテープでしるし、手鋸でログ本体の壁を窓の大きさ(1100mm× 930mm)に切り離し、窓を取り付けた。天窓+3箇所の窓がついて、ログの中が随分明るくなった。

北の窓は光量が一定して、木彫といった細かい作業がしやすいらしい。
 


12月4日  ドア取り付け

ふらりとやってきた隣人を捕まえて、ドアを運ぶ手伝いをしてもらった。
ドアノブを付け微調整して、ログはちょっとおしゃれに見える。
 

12月5日〜9日   以下同文で仕事が進む。

山から小僧が降りてきた。ちらちらと小雪が舞う。那須の山は雪景色に変わった。
里が雪に埋もれる前に外回りの形をつけなくては。
同じ仕事が続いていくが、外壁を張り付けるのに、フロアーネイル+釘しめを使うので時間がかかる。寒い、洟が垂れる。手指はがちがち。がちんがちん。辛抱強い相棒ではある。

   
12月10日  微調整が残る

外回りがなんとか終わりそうだ。最後の壁を打ち付けて相棒ほぉぉぉぉっとした様子。ここまで怪我がなくて良かった。
とりあえずこれで雨と雪対策が出来た。

午後、気分転換にバードフィーダーを作るなんていかにも相棒らしいな。
ホオジロとツグミの群れがやってきて、いま、シジュウカラの姿が見えない。
カケスもどこかに追いやられてしまった。
 

冬が来た。 ここのところ朝の気温マイナス3℃。 日陰の霜柱は一日融けない。
窓とドアの仕上げとペンキ塗り、セトリング対策、軒下天井板と屋根の取りあい部分を発泡ウレタンフォームでふさぎ、廻り縁を取り付けるといった工事部分が残った。
天窓を一度全部外し、天窓の下に三重断熱ガラス窓を作成して付け、再度天窓を取り付けるといった大工事も残っているが、ぼちぼちやろう。
し・か・し。ぼちぼちという言葉は相棒の頭の中にはない。
せっせとやるに決まっている。線路は続くよどこまでも。いやいや、どこまで続くぬかるみぞ。



 


12月12日〜14日  今年のログ最終雄姿

 

相棒、目標達成感からだれるも、引き続きこまごまとした仕事をこなす。

 

 


 

 

ドア枠と窓枠を取り付け白くペンキを塗った。
軒下天井板と外壁材の取り合い部分の隙間を発泡ウレタンフォームでふさぎ、その上に廻り縁を取り付けた。

 



これで、今年の外回り関係の仕事はおしまい。
安心して冬仕事にかかれる。
シイタケのホダギに2000個の種駒打ち、楢の木の根っこ掘り5本という大仕事が待っている。
 

続く ログはまだまだ未完成。来年に続く