万葉の植物  かし を詠んだ歌
                            2012.12.16 更新             

 

             シラカシ
 


   
かし (万葉表記  橿  柯材)  アカガシ シラカシ アラカシなどのカシの仲間 (ブナ科)

アカガシ、アラカシ、シラカシ、イチイガシ、ウラジロガシなどのブナ科ナラ属の常緑高木の総称、。カシは堅から。関西ではアラカシが多いことから、歌に詠まれたのはアラカシと考えられます。
写真はシラカシ。関東ではよく見られ、器具材に、庭園に植樹する、生垣にと利用価値の高い樹木。

  河内の大橋を獨り去く娘子(をとめ)を見る
  歌一首 短歌を并せたり
 しなてる片足羽川のさ丹塗の大橋の上ゆの赤裳裾引き山藍もち摺れる衣着てただ獨りい渡らす兒は若草の夫かあるらむ橿の実の獨りか寢らむ問はまくの欲しき我妹が家の知らなく   長歌 巻9-1742                      
  
    反歌
    大橋の頭に家あらばうらがなしく獨り行く兒に宿貸さましを  高橋蟲麻呂 巻9-1743    

(河内には染色や織物の技術を持つ渡来人が住んでいました。万葉人は女性の裳裾のひらめきにいたく心を動かされたようです。)

 あしひきの山道も知らず白橿の枝もとををに雪の降れれば 人麻呂歌集  巻10-2315

  (シラカシの枝がたわむほどの雪。那須ではこの景色が良く見られます。残念なのは歌ごころがないこと。)