万葉の植物  かへ  を詠んだ歌
                              2012.11.19 更新           

 

    
    カヤ(イチイ科) 栢、榧                 カヤの実(食用になります。)  
    
    コノテカシワ (ヒノキ科)                 ヒノキ(ヒノキ科)


   
かへ (万葉表記  柏 )  特定の常緑樹の総称 コノテガシワ ヒノキ サワラ カヤ など

短い針葉を持つ松柏類を総称して「かへ」と呼びます。もともと柏という字はブナ科のカシワを差します。
「かへ」の語源は「変わらない」。常緑であることから、めでたいものとされ、長寿を願う言葉を導く枕詞の役割を果たします。
上記4種のうち、カヤが一番相応しいように思うので、以下記述。
材は建築材や各種器具などに使用され、秋に稔る実は食用に。特に正月の飾りとして用いられます。薬用としては寄生虫の駆除に、葉は蚊遣りの原料として利用されることから、「蚊遣り→かや」。

 霍公鳥来鳴く五月に咲きにほふ花橘のかぐはしき....... 白玉の見がほし御面直向かひ見む時までは松柏の栄えいまさね貴き我が君  (長歌)  大伴家持 巻19-4169

   (天平勝宝2年、750年越中国の国司として任国にあった家持のもとに、妻の坂上郎女が来た。その便に託して奈良にある義母・叔母の坂上郎女に送った挨拶の歌。や柏のようにいつまでもお元気でいらしてください。ご長寿を祈ります。世の中は言葉で出来ている、というのが最近の流行です。言葉を尽くすことがいかに相手の心を慰め和らげるか。お手本です。)