那須の四季と私の庭をを彩る花です。   季節に分け、およそですが花を開く順に並べました。

こちらに越してきて8年、那須の気候に合うのはどんな花なのか。植えては枯らせ、殖えたと喜んでは冬の寒さに凍らせ、試してみてはがっかり、という歳月でした。
自然に逆らわない花づくりをしようと思います。   (2010春)

早春から春の花  その1
バイカオウレン
  (キンポウゲ科)

写真では大きく見える花も、実は直径2センチほどの大きさ。春一番、フクジュソウがやっと芽吹いた頃に花を付ける。それが嬉しい。バイカとは梅花。
種がキンポウゲ科そのもの。
カタクリ (ユリ科)

「もののふの 八十乙女らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花」
 万葉集4143 大伴家持

 
ヒゲネワチガイソウ
   (ナデシコ科)

撫子の仲間と聞いて腑に落ちました。イチリンソウやニリンソウ、カタクリの花のそばでひっそりと花を付けています。
静かにそこにいるだけなのに、存在感のある花。
フクジュソウ
    (キンポウゲ科)

別名元日草。金平糖のような種袋ができます。種は発芽率100%。雪の中でも丈夫で、アンテナのように花びらを開き、日の光を集める姿を庭の片隅で見つけると、いよいよ春が来たと嬉しくなるのです。
キクザキイチゲ 
  (キンポウゲ科)

菊咲一華、菊咲きイチリンソウ春3月、枯れ葉を押しのけてむくむくと葉を伸ばしたかと思うと、次の朝には菊に似た花を咲かせます。やっと春だ、と感慨を覚える花です。
フキノトウ  (キク科)

古名「山生吹(やまぶき)」。「生吹」とは元気良く伸びること。裏庭に蕗を植えたら最後、邪魔になっても絶やすことはできません。しっかり、ゆっくり、繁殖一途な植物。食べられるのがご愛嬌。
ハナニラ  (ユリ科)

全体に韮の香りがし、秋に咲く韮の花よりも美しいことから、ハナニラ。
群生して風に揺れて、春だ春だと叫んでいるようです。
ヒュウガミズキ 
 (マンサク科)

マンサク=まず咲く。
この半透明なレモンイエローの花を庭で見る朝は、幸せそのもの。
レンギョウほどきつくなく、上品な黄色です。
ユキワリソウ 
    (キンポウゲ科)

ミスミソウ(三角草)の別名も。
名前の通り、雪の中、花を開いている。
可憐、いたいけな、可愛い---どんな言葉を使えばこの花を表現できるのか。
ロウバイ (ロウバイ科)

写真は花の内部まで黄色い素心蝋梅。ここ那須でも2月には花を見せる嬉しい花。花びらは蝋細工のようで、とても香りが高いのです。毎年植えようと言いながら、まだ約束をはたしていません。
ヤブツバキ (ツバキ科)

ヒヨドリとメジロと蝶とのために植えました、と言いたるなるほど。木を揺らしているのは誰だろう?と望遠鏡を持ち出して観察する春の日が続きます。
寒さと日陰に一番強いので垣根にしています。
ハルトラノオ (タデ科)

背の高さはほんの3cmほど。春早くに咲く、尻尾の短い虎さんです。春は俯いて歩きます。小さい小さい花たちが道端に咲き始めると、どんな春を見逃すことのないようにと、とても忙しいのです。
               アブラチャン
    (クスノキ科)

右のダンコウバとほぼ同じ時期によく似た花を付けます。違いは「アブラチャンには花枝があり、ダンコウバイには無いこと」。
  ダンコウバイ           (クスノキ科)

アブラチャンの仲間。何年も違二種類の違いを探し続けやっと納得。←のとおりです。
この写真は雄花。
クスノキ科ですから、枝を折るといい香りがします。この枝で箸置きを作ります。
クロモジ (クスノキ科)

ここにはクロモジの写真が入る予定。まだ見つかりません。
左の2種との違いは、花と葉が同時に出てくること。
クロモジすなわち爪楊枝ですね。
クロッカス (アヤメ科)

こんなに分り易い花はありません。
球根を植える→時期が来ると花が咲く。
人生もこんなふうにきちんと努力が報われるのなら、どんなに良いか。
マンサク (マンサク科)

まず咲くからマンサク。豊年満作からきたマンサク。どちらにしてもめでたい花です。
四手のような花びらが、春浅い季節、北風を受けてひらひらり。

ニリンソウ 
          (キンポウゲ科)

Spring Ephemeralと呼ばれる花のひとつです。
春の到来をいち早く知らせ、ひそかに自分の出番の幕を下ろす花たちの可憐さは、年毎に募るような気がします。

カテンソウ (イラクサ科)

花点草。
カテンソウの花の花粉は非常に小さく、長い間空気中に留まることが出来ます。背丈が小さくても、風があまり無くても受粉できるように。
小さい努力家なのですね。
ショウジョウバカマ
                (ユリ科)

猩々袴。花が咲き進むと赤くなることから、能の猩々の赤頭に見立てた名前。猩々とは猿に似て酒好き、式服を着て格調高く舞い戯れる想像上の動物。でもこの動物って、近くに棲息していない?
オオイヌノフグリ 
  (ゴマノハグサ科)

右枠のタチイヌさんと同じく、明治の頃渡来した植物。いまや日本の土に根を下ろし、早春から春にかけて、サファイヤ色の花を野原にばらまいています。
 
タチイヌノフグリ
  (ゴマノハグサ科)

良寛禅師の書による「天上大風」。この文言を目にするたび「天に風地には群星犬ふぐり」と反応する私です。空色と空の対比が美しいと思うのです。
ウメ (バラ科)

中国原産です。古代から歌に詠まれ、日本人の感覚に合う花。万葉集には、
・ぬばたまの、その夜の梅(を、た忘れて、折らず来にけり、思ひしものを 
  (0392 大伴百代)
ウグイスカズラ 
  (スイカズラ科)

鶯がこの花や実をついばむ様子が神楽を踊っているようだとの見えるから「鶯神楽」と名付けられたとの説があり。
鶯とこの花の取り合わせは、まだ見たことがありません。
ウグイスカズラの実 
  (スイカズラ科)

寒冷地の那須でも、2月から咲き始めるからか、受粉して実になるのはとても低い確率です。約1/50くらい。
6月に熟するほの赤い実はジューシーでほんのり甘い。
ジンチョウゲ (ジンチョウゲ科)

香りの花。沈丁花。
挿し木で殖やしても、植えられる土地を選ぶので何度枯らしたことか。
庭にあると、落ち着く花。無いと寂しい、あっても感激が薄い花。
チオノドクサ (ユリ科)

トルコ原産の珍しい名前の花。チオノ(雪)+ドクサ(栄光)で、”「雪の誉れ」という意味らしい。
春3月、花壇のあちこちから薄紫色のヒヤシンスに似た花を覗かせて、小さいながら自己主張しています。
ミズバショウ 
       (サトイモ科)

尾瀬のミズバショウは初夏に咲くが、那須では4月中旬に咲く春を代表する花。
花後の大きく繁った葉と、白い花のイメージがどうにも合致しませんね。花に見えるのは仏炎包と呼ばれる花に近い葉。
ザゼンソウ (サトイモ科)

ミズバショウと同じく、花は中心の棍棒のようなもので、花の集まったもの。ザゼンソウは悪臭がし、発熱さえします。受粉を媒介する昆虫を呼び寄せるためなのですが、戦略的ですね。
サンシュウ (ミズキ科)

春到来の色、黄色で存在を主張し、秋には珊瑚色の実が熟します。
、庭の片隅で佇む静かな花の木。
 
セントウソウ (セリ科)

人里離れた仙人の住まいを仙洞と言い、そのような場所に生える植物に仙洞と名づけたという説。いや先頭だ、尖頭だという話もあり。小さくてとても可愛らしい春初めの花。
ヒメオドリコソウ
                 (シソ科)

ヨーロッパ原産。帰化植物でいまや野原に繁殖し、日本在来種を脅かす存在に。
田の畦に並んでいる姿は、踊り子も群れに見えなくもないですね。
 

ホトケノザ (シソ科)

左枠のヒメオドリコソウと仲良し。開放花と閉鎖花を同時に付ける繁殖力旺盛な植物。茎の周りを円形状に取り巻く葉姿が、仏座に似ていることから名づけられました。春の七草のホトケノザは、この種ではなくてコオニタビラコ(キク科)のこと。
カラマツの新芽 マツ科

戦後、寒地に適応する落葉松の植林が奨励されました。いまや国産材の使いみちは?
新芽はまん丸でまるで「翡翠」のようですね。
ショカツサイ 
               (アブラナ科)

紫花菜、花大根と言った別名を持ちます。ショカツサイは、諸葛葉。諸葛孔明が野菜不足対策にと、陣中に種を播かせたところから名前が来ています。野生化して、林のなかに紫の景色が広がります。
タンポポ  (キク科)

庭に西洋タンポポが生えると抜き、関東タンポポだと存在を許してやります。花は天麩羅に、葉はサラダに、根っこはコーヒーに。お日様が大好きなので、花茎を広げてのんびり。

ヤブレガサ  (キク科)

名前の由来は見ての通り。破れた番傘にそっくりの新芽です。
小学校に入る春、、父が通学用に「番傘」を用意してくれました。チビの私は、そのあまりの大きさに驚きて三歩歩まず。
タネツケバナ 
               (アブラナ科)

この花が咲くと、種籾を水に漬ける時期だからと言われています。それにしても2月から秋まで、種を飛ばしながら殖え、咲き続ける花が、農作業の先達になれるか?

ヤマネコノメソウ 
    (ユキノシタ科)

なぜ「猫の目」なのか。

これを見て「にやり」としなかったアナタ、ストレス溜まっていませんか?
ナズナ (アブラナ科)

ご存じペンペン草。
秋の終わりに発芽し、冬の間はロゼッタ状で寒さを凌ぎ、早春花を咲かせながら背丈をのばしていく生命力豊かな植物。
麦の畑とナズナ。ピッタリの組み合わせ。

ラッパ水仙 (ヒガンバナ科)

水辺に咲く、気品のある花から水仙の名前が。
庭に1000本のラッパをが鳴る季節は、一日が「わくわく」で始まるのです。

コブシ (モクレン科)
   別名  田打ち桜

那須高原の上に広がる、霞がかった春空を背景にコブシが咲くとき、胸の内から湧き出してくるものがあるのを感じます。
ワサビ  (アブラナ科)

まな板に並べざっと熱湯をかけ、塩を振って揉み、ビニール袋に入れて冷蔵庫で半日以上冷やす。
ぴりぴり味のお浸しの出来上がり。

ネコヤナギ (ヤナギ科)

雌雄異株。雄花序は銀白色から暗紅色へ、黄色から黒へと色の変化を見せます、
その移り変わりは急ぎ足。猫の尾を触って楽しめるのは、ほんのつかの間のこと。


 梅、桜、桃が
 一度に咲きそろう
ヤシオツツジ 〔ツツジ科)

栃木県の県花。
那須では、この花が庭にあるのがステイタス。
我が家も遅ればせながら、ひょろひょろの木を植えて、生長を待っています。
スノーフレーク 
    (ヒガンバナ科)

別名鈴蘭水仙。6弁の花びらが雪の結晶を思わせることから、スノーフレーク(小さい雪のかたまり)。
緑のポイントがお洒落ですね。
ハナコブシ (モクレン科)

シデコブシの園芸種。
湿った場所が好きなのに、我が家の2本のハナコブシは、いずれも乾燥する場所に植えられています。
 健気ですね。毎春花を付けて。

 
ソメイヨシノ  (バラ科)

4月25日。住宅地のソメイヨシノが満開。いつもの年よりも1週間遅い開花。
まず梅、ついで桜、桃、梨、杏、辛夷、木蓮、李と木の花が一斉に咲く那須の春は中空にあるのでしょう。
ムスカリ (ユリ科)

別名葡萄ヒヤシンス。
同時期に咲くチューリップやシバザクラと取り合わせると春ガーデンそのものになりますね。
個人的にはこの紫色は強すぎて、白花の方が好きですが、なかなか殖えないのが悩み。
極早生のシャクナゲ 
    (シャクナゲ科)

あまりに派手なので、垣根の向こう側に植えました。お隣の人たちがこの花を楽しんでいるようです。
クリスマス・ローズ

元は年末に開花する「ヘレボルス・ニゲル」だけを指していました。日本では、「レンテン・ローズ」と呼ばれる種類もクリスマス・ローズ」と総称されています。種を播いてみましょう、今年は。俯く姿が素敵。
ツクシ  
(シダ植物スギナの胞子茎)

地味な春の山菜。茹でてアクを抜き、佃煮に、天麩羅に、おひたしに。ツクシを食べることは春の行事そのもの、通過儀礼ですね。

シバザクラ 
     (ハナシノブ科)

赤、朱、白、薄紫、斑入りと色目はさまざま。薄紫がお気に入り。
挿し芽でどんどん殖えます。太陽が大好きな花。
ユキザサ  (ユリ科)

葉は笹に似、白い花穂がすんなり伸びることからユキザサ。
シロ、ユキ、ギンが名前の頭に付くとそれは白い色の花。背丈は15cmほど、裏庭でひっそり。こういう人に私はなりたい。

ワスレナグサ 
                 (ムラサキ科)

ヨーロッパ原産。川に落ちた若者が、恋人に「私を忘れないで」と言い残し、水に沈んでいった---水辺の花。
水分と光が好きな花。
 

キツネのボタン
  (キンポウゲ科)

狐の牡丹。牡丹の葉に似ていなくも無いが。咲いてみると小さい地味な黄色い花で、だまされた気分。

クサボケ バラ科

別名地梨。大きな実がなり、焼酎に漬けると木瓜酒に。
早春だから許される派手な色。春が進むとこの色はちとうっとうしい。
 

キンポウゲ 
          (キンポウゲ科)

『赤毛のアン』のなかで、アンが協会へ行くのに、帽子の飾りに付けひんしゅくを買ったと原作にある花。(ややおたく)
キンポウゲ科の植物の例に漏れず、植物毒を持つので、牛も馬も食べません。

ヤマオダマキ 
   (キンポウゲ科)

他のオダマキに比べて背丈が高い花。距が長く、花を苧環に見立ててヤマオダマキと名づけられた。野原にこの色合いがお洒落。
ミヤマオダマキ 
  (キンポウゲ科)

これはミヤマオダマキの園芸種。種でいくらでも殖える。殖えすぎて泣く泣く苗を間引く身を、可哀相に思ってください。
エイザンスミレ (スミレ科)

こちらに越す時、お隣から餞別に頂いた花。大事にしています。
たとえ大事にしなくても、どんどん殖える花です。

ゼンマイ 
        (ゼンマイ科)

若芽が茶色い綿を被って、銭を巻いているように見えることから、銭巻き→ゼンマイに。
写真は胞子葉。食べるのは栄養葉。    

                                      

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