秋から冬への花
ツルボ  (ユリ科)

別名参内傘。
秋の初め、日当たりの良い草原に花を咲かせる多年草。
公卿が宮中に参内するときに従者が差しかけた傘の形に似ていることから。

シデシャジン
      (キキョウ科)

見ての通り、神前に供える四手にような花弁から名づけられました。花びらはくっ付いていて合弁花。那須でももはや、存在が珍しくなりました。

ツリガネニンジン 
   (キキョウ科)

秋の紫色は、悲しい。

 

ウツボグサ (シソ科)

和名の由来は、矢を収める「靫」に似ていることから。
シソ科の花らしい姿で、路端を彩ります。

コスモス (キク科)秋桜

原産地は中米・メキシコ。日本には明治の初めに渡来して、いまや日本の秋を代表する花に。

宇宙、宙(そら)---空を向いて咲く花、風に従う花。
アカバナ 
   (アカバナ科)

全体に腺毛があり、細長い果実をつける。
ひっそり咲く可憐な花だけど、たくましく、生命力はとても強い。
アキカラマツ 
           (キンポウゲ科)

草原に自生するキンポウゲ科の植物で、仲間に倣い毒を持ちます。花弁は無く、花弁のように見えるのは萼で、その様子が唐松に似ていることから名づけられました。
アキノキリンソウ
              (キク科)

多年草。秋の初めに総状、穂状の花を付ける。
セイタカアワダチソウの仲間だけども、山野に自生している姿は華奢で美しい。

アカソ (イラクサ科)

古代は、この茎を乾燥させ、木槌や石で叩き、繊維を取り出して撚り合わせ布にしました。
一着の貫頭衣を作るのにどのくらいの時間がかかったことでしょう。火の囲んでの冬の仕事だったのかもしれません。
ワレモコウ (バラ科) 

「我亦紅」 と主張しています。 
その言葉を聞いているのは、シノメトンボ。

アキノウナギツカミ 
                       (タデ科)

名前の通り、茎に棘がびっしり付いていて、うっかり触ると引っかき傷が出来そう。
ウナギだって掴めます。
タデ科の花はどれも爽やかで可愛らしいのです。
クズ (マメ科)

垂れ下がった花穂の下から花を開いていきます。緑化植物としても有用で輸出されたこともある。葛粉は根から採れ、秋の七草のひとつ。
気付かぬほどの秋の兆しを感じていち早く花を開くのです。
エゾリンドウ
              (リンドウ科)

蝦夷竜胆。こう書くだけで心が北に飛びませんか。標高1000mの沼地に9月の初め、花を開きます。空は高く竜胆咲く那須の秋においでください。
沼地では5月、蝦夷春蝉(エゾハルゼミ)も鳴くのです。
シロバナホトトギス 
             (ユリ科)

ユリ科なのです、驚きました。この花はホトトギスがシロバナ変異した個体。
50センチほど茎を伸ばし、それぞれの葉の付け根から花を開く姿は、秋と言う季節に靡いているかのようです。
アスター (キク科)

園芸種、別名蝦夷菊。
お盆の頃、花を付けることから仏花として知られていますが、改良されてこんなに美しい花を咲かせるのです。
蝦夷菊、侮れません
ハギ (マメ科) 

写真はヤマハギ。秋の七草のひとつ。秋とは呼べないほどの夏の初めから山野に咲き始め、触るとほろほろ、こぼれます。
アカネ (アカネ科)

根は乾燥させると、橙色になり、これを使って茜染めをします。赤い根、染められた布の色から「日」「紫」などの枕詞。
・茜さす紫野ゆき標野ゆき野守は見ずや君が袖ふる
 万葉集 0020 額田王
イネの花  (イネ科)

出穂期(しゅっすいき)の始まり。開花とほぼ同時に受粉するが、開花時間はほんの一時。
強風や雨は受粉の大敵です。

  

アケビ (アケビ科) 

写真はミツバアケビ。
新芽はお茶に、実は飾りに、料理に、蔓は日差しを遮るためにとなかなかの有用植物。
観ているだけで、秋の実りの豊かさを感じることができます。
アケボノソウ 
    (リンドウ科)

5弁の花びらを夜明けの星空に見立て、「曙草」という優雅な名前を授けられました。
黄色い点々は、蜜腺。ここを目指して蟻が木(茎)登りしてきます。

シオン (キク科)

根と根塊を乾燥させ、生薬の咳止めとして使われます。含まれているポニンが気道粘膜の分泌促進をして、痰が出やすくなるそうですが。
紫苑。この紫色を見、名前を口にするだけで価値がある花。
ゲンノショウコ 
     (フウロソウ科)

薬効著しいことから「現の証拠」
摘む時は、有毒植物のニリンソウと間違えないように。
西日本では白花。関東以北は赤花が多いので、こちらに来て面くらいました。
ゲンノショウコ
     (フウロソウ科)

別名ミコシグサ(御輿草)。
なぜって?
写真を見れば、なるほど!
ダッタンソバ (ソバ科)

韃靼蕎麦。血圧降下作用、毛細血管強化作用があるルチンを含む。我が家では夕食後韃靼蕎麦茶を飲んでいます。
さて効果のほどは?
ヤクシソウ (キク科)

薬師草。
ご利益がありそうな名前でしょう。頭花は舌状花だけでなり、花が終わると俯いてしまいます。

 

  残りのコスモス

ノブドウ (ブドウ科)

丘の上の小さなめくらぶど
うの木が、よるのそらに燃える青いほのおよりも、もっと強い、もっとかなしいおもいを---
『めくらぶどうと虹』より
  宮沢賢治

ネナシカズラ 
 (ネナシカズラ科またはヒルガオ科)

もっぱら寄生主にたかるパラサイト植物。あつかましいヤツほど太っていく。

ヘイロール 

牧草を束ねて巻き、ビニールで包む。このロールが畑にずらりと並ぶさまは、壮観です。

風物詩?農家の人たちの労働の成果です。
イチョウの実  
           (イチョウ科)

雌雄異株。公孫樹の別名は、老木でないと実らず、孫の代に実る木の意味。ぎんなん。

核を取り出すのはひと仕事。美味しいと楽ちんは両立せず。

ガマズミ 
          (スイカズラ科)

春に白い花をびっしり咲かせたあと、律儀にもそのすべてに赤い実をつける。酸っぱい実を焼酎に漬け込むと透明で赤い果実酒の出来上がり。呑めないYamaには猫に小判。
ガマの穂 (ガマ科)

茎を編んでむしろを作ったり、穂に油を注いで蝋燭の代わりにしたり、布団の芯にしたり。
皮を剥かれたウサギの手当てに使ったり。実際に花粉は生薬「蒲黄」(ほおう)と呼ばれ傷薬として働くそうですね。
ハンゴンソウ (キク科)

反魂草。

魂を呼び返す花。

 

 コバノカモメヅル 
    (ガガイモ科)

蔓で巻き付き生長する。ある日気付くと近くの山椒の木の天辺まで蔓を伸ばしていた。
花びらがやや捻れて小型風車の趣があります。
     
   



    蔦も紅葉し始めた
アメリカフウロ 
  (フウロソウ科)

なにしろ1本の茎に房になるほどの花を付け、繁殖力ときたらとてつもないのです。
アメリカ、すなわち外来種の強靭さに日本種よ負けるな。
センブリ  
  (リンドウ科)

胃腸薬としては昔から知られていますが、なんと育毛効果もあると!
乾燥センブリを焼酎に漬け、頭皮に付けると良い、とありました。

ノササゲ (マメ科)

野大角豆。つる性の多年草で、周囲に絡み付いて伸びる。
謙虚な花の様子が、一転どうなりますか。 →→→
ノササゲの実 (マメ科)

破天荒!
アオツヅラフジ 
   (ツヅラフジ科)

昔話「舌切り雀」のなかの、無欲なお爺さんがお土産に持たされた「小さいつづら」はこのアオツヅラフジで編まれたものでしょう。では「大きいつづら」の材料は何か?
カラナハソウ (クワ科)

ビールの苦味や香りの原料となる、セイヨウカラハナソウはこの日本産のカラハナソウの母種。写真は雌株で松かさに似た実を付けます。これでビールを仕込んだらどうなりますか。

ヨウシュヤマゴボウ
   (ヤマゴボウ科)

北アメリカ原産の帰化植物。あっという間に日本の空き地を占拠した暴れ者。
山菜の「ヤマゴボウ」はモリアザミの根。
 

ヤマトリカブト
   (キンポウゲ科)

紺青の花。見とれる美しさ。毒を持ちます。狂言「ぶす」の「ぶす」はトリカブトの毒のこと。それにしても、なんという透明感のある花だろう。   

収穫の秋 

はで、はぜ、と名前もさまざま。
自然乾燥させる米は、おそらく自家米でしょう。
畦にはヒガンバナが群れて咲いていました。
イシミカワ  (タデ科)

神様のどういう悪戯なのか、この瑠璃色の玉の連なりを見てください。
散歩の度に足を止め、うっとりするのです。

くり    (ブナ科)

「三つ栗の」は「中」にかかる枕詞。
山栗で、三つ揃った実を見つけるのは難しい。
小さい実を集め茹でてあくを抜き、中味を取り出して冷凍してあるのです。山栗の実を使った栗羊羹を作ります。
イタドリ (タデ科)

地方により、スッポン、スカンポなどと呼ばれます。若い茎には虎の模様があることから、虎杖と書かれることも。茎は茹でで薄味に煮ると美味しい。
イヌトウバナ (シソ科)

塔を重ねるように咲くのでトウバナ。「犬」が被さると小さい、劣っている、という意味か。異なとの説もあり。
小さくてシソ科独特の花がひっそり咲きます。

キバナアキギリ 
   (シソ科)

ゴマノハグサ科のキリ(桐)の花に似ていることから、キバナアキギリ。シソ科の植物の茎は四角なので、触ると一目瞭然。

ノハラアザミ (キク科)

見かけは春に咲くノアザミにそっくり。咲く時期と総苞が粘つかないことで見分けます。

 

キンミズヒキ (バラ科)

バラ科の植物!驚きます。花穂を伸ばし金色に輝く姿を見るのは、秋の初めの楽しみ。

コシオガマ
      (ゴマノハグサ科)

めっきり個体数が少なくなった花。移植しても根付くのは難しいのに、盗掘が絶えません。
いつかまた出会えるか?

コンギク (キク科)

この花が紫色に輝くのは、中秋の天気の良い日。
秋を惜しんで歩く日の、足元を飾ってくれる忠実な花。庭に植えると殖えすぎるので、野外鑑賞に徹します。

マイヅルソウの実
       (ユリ科)

珊瑚色?
この色目の美しさ。
こぼれてそちこちに、片葉の子孫を増やします。片葉が生長して両葉になり、めでたく花を付けるのは何年後か。
イチイ (イチイ科)

別名アララギ、アイヌ語でオンコ。古くは高官の笏を作ったことから「一位」と呼ばれる。
赤い実はゼリー状で甘い果肉を除く全体にタキシンという植物毒を含みます。白血病治療薬として注目されているらしい。
ママコノシリヌグイ
             (タデ科)

アキノウナギツカミとの見分けが難しい。葉柄の付き方と葉の形に注意。それにしても名前が名前ですね。花はこんなに可憐で可愛らしいのに。

アメジストセージ
メキシカンブッシュセージ
ビロードセージ 
サルビアレウカンサ
  (シソ科)

こんなに沢山の名前を持つ花。
寒さに弱いので、冬を越すのに腫れ物に触る思いです。
ハロウィンのかぼちゃ

Jack-o'-Lantern
ジャック・オー・ランタン

クランベリー 
   (ツツジ科)

日本では、コケモモ、ヒめコケモモ、ツルコケモモなどが近縁種として知られています。

この赤い色はポリフェノール。若返りの薬ですね。

テンナンショウの果実
  (サトイモ科)

日本には、自生するテンナンショウ(天南星)には40種前後あるのです。
この写真はおそらく「カントウマムシグサ」。
北海道には「路辺の提灯」という別名があるらしい。
 
マユミの赤い実 
   (ニシキギ科)

ぶらぶらする様子は、まるで「無脊椎植物」。実がはじけて種が飛び出しす。秋が深まり、冬を迎える。それを林のなかで沈思黙考している植物。 

会津舘岩村の黄葉

国境の山なみを越え、会津の国に入ると、景色は一変します。
春は遅く夏は涼しく、秋の訪れはいちはやく。季節の一里塚に出会いに出かけます。

 

    

    落葉しきり

飾りカボチャ 

このカボチャの重さは
58kg。
近くの産直のお店で売られていたのは150kgで売価150円なり。ただし「お持ち帰りください」とありました。
レッカー車がいる---。

 

 四つ葉
  ---全方位満ちて

 

ネリネ 
   (ヒガンバナ科)

南アフリカ原産。秋の終わりに光をはね返す輝く花を咲かせます。別名ダイヤモンドリリー。
ギリシャ神話水の神(ネリネ)から名前を取られました。
アオハダの実 
  (モチノキ科)

樹皮は灰白色で内皮は緑色をしている。緑色=中国での青。
大量に果実が実るが、ヒヨドリが冬の初め、いやいや食べにやってくるくらいで、鳥にとって美味しくないらしい。

干し柿 

ぶら下っているのは「玄馬柿」。小さくくても味はしっかり濃くて渋柿のなかでも一番美味しい種類。ただし私の口には入りません。亭主の好きな赤烏帽子。


リンドウ (竜胆)
                   リンドウ科

青い色の花なので野生種。園芸種では白、淡いブルー、ピンクなどさまざま。竜胆の名前の通り、漢方薬の材料として利用されていた。蒼穹を思わせる澄んだ青。
左のリンドウの写真は、隣町にお住いのK嶋さんからお借りしたもの。(謝謝)

標高570m地点での撮影。秋の遅い時期に咲くと、見つけた喜びもひとしお。田舎暮らしの醍醐味はここにある。

 

冬の季節へ