象の耳はヒマラヤユキノシタ
ヒマラヤユキノシタ
(ユキノシタ科ユキノシタ属) 持つべきものは知恵ある友。 長年頭を悩ませていた案件が、彼女の一通のメールで氷解したのです。その瞬間の嬉しさときたら、夜空にオーロラが現れ、緑や赤のカーテンをかけたら、おそらくこのように高揚した気分になると思わせてくれるような。 あまりにあっけなくて、これまでのわが調査能力に疑いを持ったほどでした。
それは、「象の耳とはなにか」から始まりました。 |
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樅の木の下にはビロードのような苔がふかぶかとはえており、さらにすすむと、木はちいさく数も少なくなり、地面にはいろいろの下草がしげっていた。「まあ、秋海棠がたくさんあること(a
lot of elephant's ears)!」ダイアナは叫んだ。「摘んで大きな花束をつくるわ。とてもきれいなんですもの。」「どうしてこんなにやさしい、羽根のようなものに(graceful
feathery things)、象の耳(elephant's
ears)なんてそんないかめしい名前がついているんでしょうね?」とプリシラがきいた。 『アンの青春』 第13章 たのしいピクニック (The path was a winding one, so narrow that the girls walked in single file and even then the fir boughs brushed their faces. Under the firs were velvety cushions of moss, and further on, where the trees were smaller and fewer, the ground was rich in a variety of green growing things. "What a lot of elephant's ears," exclaimed Diana. "I'm going to pick a big bunch, they're so pretty." "How did such graceful feathery things ever come to have such a dreadful name?" asked Priscilla. ) |
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結論に至らぬまま時間が過ぎていきました。 |
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さすが!
象の耳と称されるのはなにか:
これら以外に「ヒマラヤユキノシタ」がそう呼ばれているとは知らなかった・・・。
下の画像が私の庭に咲く「ヒマラヤユキノシタ」(ユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属) |
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ヒマラヤユキノシタ | ||
「象」という言葉が何かを象徴するのでないかと考えて寄り道をし、堂々巡りののち、ヒマラヤユキノシタの葉が似ていることから「象の耳」と呼ばれている。こんな単純な結果に舞い戻ってきました。 葉が象の耳のように広がり垂れ下がることから、ヒマラヤユキノシタが「象の耳」と呼ばれているなら、体は名を表す、または名は体を表す、でしょう。ここで引っかか たのが、原文にある、 |
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「どうしてこんなにやさしい、羽根のようなものに(graceful
feathery things)、象の耳(elephant's
ears)なんてそんないかめしい名前がついているんでしょうね?」とプリシラがきいた。
『アンの青春』 第13章 たのしいピクニック |
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ずっと「graceful
feathery」に引きずられていました。「やさしい、羽根のようなもの」。 |
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原産地が北アメリカ、というのにこころ惹かれます。 はじめ、ユキノシタ科のヒマラヤユキノシタを、その葉の形状から「elephant'sear」と呼び、ユキノシタ科の一種である「Tiarella・ティアレア」を同じように、「elephant'sear」と呼んだとしても不思議ではありません。
一つの言葉がある集まりを代表することもある・・・。 |
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などとさらに考えを巡らしていると、先述のKさんから新しいメールがあり、 |
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同感です!
< http://www.annestore.ca/chronicle_files/July%202006%20.pdf >
この場面の訳文から読み取れるのは「摘めるほどの花の大きさと葉柄の長さ」。 では、堂々巡りのそのはじめの「秋海棠・シュウカイドウ」がなぜ「象の耳」と訳されたのか?に戻ると。 その理由ははじめに書いたように、葉が左右非対称で、その形が「象の耳」に似ているから、でした。
私が、こんな単純な由来に長年引き回されたのはなぜか? 訳者が植物の生育状況に詳しくて、繁茂する季節を知っていたら、ここを訳す時点で疑問に思ったのかもしれませんね。 Eureka! この嬉しさをなんとしよう! |