タバコはナス科タバコ属の一年草。有毒で習慣性のあるニコチンを含む、とタバコの箱に記載してあっても、日本での喫煙率は男性34％、女性）％（2014年厚生労働省調査）。

　

 (Marilla went slowly down to the kitchen and proceeded to wash the supper dishes. Matthew was smoking--a sure sign of perturbation of mind. He seldom smoked, for Marilla set her face against it as a filthy habit; but at certain times and seasons he felt driven to it and them Marilla winked at the practice, realizing that a mere man must have some vent for his emotions. )

その後、二時間も煙草をくゆらし（After two hours of smoking）、一心に考えたあげく、ようやくマシュウは問題を解決した。アンの身なりがほかの子とちがっているのだ。　・・・　一方マリラは戸という戸を全部あけて家に空気を入れていた。　　
                                       『赤毛のアン』　第２５章 　マシュゥとふくらんだ袖

 (He had recourse to his pipe that evening to help him study it out, much to Marilla's disgust. After two hours of smoking and hard reflection Matthew arrived at a solution of his problem. Anne was not dressed like the other girls! )

フィンランド・タンペレの街の博物館で撮影。昔の暮らしを再現してあります。

 たばこは、たばこ事業法により、日本たばこ産業（JT）以外で は生産できません。
生産者は、生産した葉タバコをすべて「にほんたばこ産」業に売り渡すという契約をし、種を無償で受け取り、種からの生産を行います。
まず親床に種を蒔き、本葉が３、４枚に生長すると苗床に移植し、さらに一月程度生長を待ちます。その後畑に本植えし、栽培農家の細かい作業と管理によってタバコは、人間の背の高さ以上に生長するのです。
子供の頃に実家で栽培していましたが、当時は、乾燥小屋に吊るして自然乾燥させました。それは雨や湿気との戦いです。ナス科の植物なので、連作障害を起こすのですが、はて？父親はどうしていたのか、もはや記憶のかなた。

厳格なクリスチャンである島の人々は、飲酒による社会や道徳の乱れを背徳的だと思うのでしょう。連邦政府は１８７６年、「禁酒法」を施行しました。ついで１９００年、島はこの禁酒法を条例化し、さらに１９０６年には島全州が、禁酒法を実施し始めたのです。

当時の禁酒法は、あくまでも「人を酔わせ道徳に反する行為、酒類の禁止」というもの。
その後、島では１９４８年までこの条例は有効でした。どうりで、カナダを旅すると「アルコール禁止」のレストランが結構あるわけです。

長老会派の信者であるマシュウとマリラの二人にとって、酒や煙草は忌避すべきものだったはずですね。マリラはすぐりのお酒を造る、 けれどもマシュウの煙草は不潔な習慣だと思っている。
しかし。暗黙の了解程度には許している、このところがいかにも村から外れた場所に住む二人の性格を表して興味深いところです。
いつもは煙草を吸わないマシュウが、なにか判断に困ることがあったり、難しい問題に直面したりした時に煙草を手にすることがあるようです。『赤毛のアン』のなかで、マシュウが煙草をくゆらすシーンは二か所だけ。いずれもアンについて悩んでいる時。

タバコは亜熱帯産の植物です。当時ハバナからの交易船が島の北部に入出船していたはず。
謹厳実直を絵に描いたようなマシュウが煙草を吸う。いったいどこでこの習慣を身に着けたのでしょう？
いかにも中性的に見えるマシュゥの心にざわめく物があり、それを鎮静するためのタバコを手に取る、こう考えました。
さて、「たばこしゃっくり」をご存じでしょうか。タバコの煙が横隔膜を刺激して痙攣を起こすのではないか、と考えられています。　
生真面目で中性的なマシュウが、煙草を手に持ってしゃっくりに苦しんでいる、と想像するだけで面白いでしょう。
    ○   黙々として働き黙々として生きるものの前に決してじょうぜつであるな　　『那律』　高橋元吉