背丈を計るのに

 背丈を計るのに 
 
  リラはいまでもまだ舌よりも目で話すほうが上手だった。まったくの片言なのである。しかし、それもなおるに相違なかった。どんどん成長していくからである。去年、お父さんはばらの茂みでリラの背丈をはかった。今年は草夾竹桃であった。じきに蜀葵ではかるようになり、あたしは学校へ行くのだ。 
                                    『炉辺荘のアン』 第36章  リラとお菓子

(But she would grow out of that . . . she was growing fast. Last year Daddy had measured her by a rosebush; this year it was the phlox; soon it would be the hollyhocks and she would be going to school. )

  チューダー家の紋章  赤と白のバラ
 

 草夾竹桃(フロックス)と、
 立葵(タチアオイ)が一緒に

らも、草夾竹桃も、立葵も、木本と草本の違いこそあれ、夏の間日々生長し続ける植物です。
日本ならさしずめ「柱のきず」で子どもの背丈をはかるところですが、生長はかばかしい植物で、やはり成長し続ける「こども=背丈」で測ったところに、このシーンの妙味があります。感情表現が苦手で、いつまでも片言で話すリラよ、大きく素直に育て!との両親の願いを込めて。それにしても、おしゃべりの好きなアンの子供なのに、話すのが得意でない、という設定はいずれ『アンの娘リラ』で生きてくることでしょう。

更に、『マリーゴールドの魔法』には、こんなシーンが、

 もう十一歳だし、年のわりには背が高い。二年前にはバラの茂みで身長をはかり、去年はブルーベルではかった。ことしはフロックスと同じ高さになった。
               『マリゴールドの魔法』 第17章 パンのみにあらず

  (Marigold was eleven now and tall for her age. One year she had been measured by the rose-bush--the next by the blue-bells. This year she was as tall as the phlox.)

新しく、ブルーベルが出てきました。バラの茂みより背が高く、フロックスよりも低い・・・。
Tallbellflower かもしれません。 和名を「ハタザオギキョウ」(旗竿桔梗)おかしいことに、名前そのものの花なのです。