ねこやなぎ 

  ねこやなぎ  猫柳  ヤナギ科

春の気配が漂い始めると、このネコヤナギの花穂がゆっくりと膨らんできます。水際に生息し、凍りついたままの川辺の氷の上をこのネコヤナギが影を落とすさまは、作者モンゴメリならずも、雪国に住む人間にとって嬉しいもの。銀白色の毛で目立つ花穂が美しく、これをネコの尾に見立てて「ねこやなぎ」。
さわるとなるほど猫のしっぽ。
あのポプラもヤナギの仲間。同じように雌花の種子は、綿毛に包まれて風に乗って飛んで行くのです。


 ネコヤナギ 雌花
 花瓶に挿すと、その下は花粉でまっ黄色

  タチヤナギかカワヤナギか?
 
 「こんな恐ろしい時によくも春は美しく訪れたものだ」 リラは日記に書いた。「日が輝き、小川のほとりの柳には、ふわふわした黄色い花が咲き、庭が美しくなりはじめているとき、フランダースであのような恐ろしいことが起こっているとは思えない。・・・)

          『アンの娘リラ』 第12章 ランゲマルクの日々 

("How can spring come and be beautiful in such a horror," wrote Rilla in her diary. "When the sun shines and the fluffy yellow catkins are coming out on the willow-trees down by the brook, and the garden is beginning to be beautiful I can't realize that such dreadful things are happening in Flanders. But they are! )

  今日はしとしとと雨がふっている。沼地では猫柳が芽を吹き、〈まっすぐの国〉の樺の若木はそのむき出しの枝に透きとおった紫のベールをかぶっている。わたしは『春の幻』という詩を書こうと思う。

           『エミリーは登る』 第11章  猫柳が芽を吹く
                                        
("It's a gentle, rainy evening to-night. There are pussy willows out in the swamp and some young birches in the Land of Uprightness have cast a veil of transparent purple over their bare limbs. I think I will write a poem on A Vision of Spring.)
 

作者はこの春の使者、ねこやなぎが大好きだったようです。
何しろ、猫が大好きなモンゴメリですから。

 銀白色のネコ花をたくさんつけた柳の小枝が2本差してある。 
            『モンゴメリ日記』 立風書房 桂宥子訳
             メアリ・ルビオ エリザベス・ウォータートン編集