シャーレー・ポピー
シャーレー・ポピー ヒナゲシ 雛芥子 雛罌粟 ヨーロッパ原産のケシ科の植物で一年草。和名はひなげし。 ケシ科ケシ属 Papaver rhoeas
漱石の小説で知られる虞美人草とも呼ばれ、フランス語ではコクリコ・ Coquelicot。英名はCorn
poppy,シャーレイポピー( Shirley
poppy)。 |
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そよ風がかすかな音をたててポプラの木々にささやき、桜の果樹園のかたすみには、うすぐらい若樅のしげみを背に、燃えるような赤いけしの花が首をふっていた(
red poppies)。 『アンの青春』 第1章 怒りっぽい隣人 村岡花子訳 (But an August afternoon, with blue hazes scarfing the harvest slopes, little winds whispering elfishly in the poplars, and a dancing slendor of red poppies outflaming against the dark coppice of young firs in a corner of the cherry orchard, was fitter for dreams than dead languages.) |
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「こんな恐ろしい時によくも春は美しく訪れたものだ。」リラは日記に書いた。「日が輝き、小川のほとりの柳にはふわふわした黄色い花が咲き、庭が美しくなり始めているとき、フランダースであのような恐ろしいことが起こっているとは思われない。----」 「戦傷死者名簿が新聞に毎日出る----ああ、なんて大勢だろう。ジェムの名前があったらと思うと、 怖くて読めない----」 『炉辺荘のアン』第12章 ランゲマルクの日々 村岡花子訳 ("How can spring come and be beautiful in such a horror," wrote Rilla in her diary. "When the sun shines and the fluffy yellow catkins are coming out on the willow-trees down by the brook, and the garden is beginning to be beautiful I can't realize that such dreadful things are happening in Flanders. But they are! ) (The casualty lists are coming out in the papers every day—oh, there are so many of them. I can't bear to read them for fear I'd find Jem's name—) |
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カナダの詩人ジョン・マクレーの 「In Flanders Fields フランダースの野に」。
マクレーは第一次世界大戦に参戦し、軍医としてフランドルの地へ赴きました。
ここは当然晶子の歌を。 ○ ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟(こくりこ)われも雛罌粟 与謝野晶子
『第一次世界大戦当時のカナダの人口は約800万人。そのうち約63万人が従軍し、約6万人は犠牲になりました。つまり国民の13人に一人が戦地におもむき、そのうち10人に一人が戦死したのです。イギリスとカナダほかの旧英領の諸国では、休戦協定が結ばれた11月11日は「リメンブランス・デー」と呼ばれる休戦記念日に定められており、毎年この日は戦没者の追悼集会が行われています。」
興味深いことにこの戦争で男性が戦場に送られると、後方を守る女性の活躍が認められるようになり、女性が参政権を得る、議員になるという方向に社会が向かっていきました。(戦時の暮らしは『アンの娘リラ』に詳しい) |