ベニバナサワギキョウ 

   ベニバナサワギキョウ  紅花沢桔梗   Lobelia cardinalis  キキョウ科

  北アメリカのカナダ南部からアメリカにかけて分布する多年草。湿地や水辺などに自生します。初夏から夏にかけて総状花序の花穂を出し、サワギキョウの仲間にふさわしい唇形の赤い花をつけます。
注意すべきは、
全草が有毒であること。間違って食すと嘔吐、下痢、血圧降下を起こし、ショック状態に陥ります。

さて、この花の名前の由来となるロベリアは、熱帯から温帯にかけて分布し、多年草タイプと一年草タイプに分類できル植物。そのなかでも、宿根する多年草タイプのものを宿根ロベリアと呼び、さらにその中にサワギキョウが存在するのです。つまり、ロベリアの多年草タイプのサワギキョウの赤花が、このベニバナサワギキョウ。
周囲の緑の中に、立ち並ぶこのベニバナサワギキョウの美しさは、容易に想像できますね・・・。
 

 

 

 

   庭のベニバナサワギキョウ
 
湿地が好きな花を、乾燥しがちな私の庭に植えてしまったのです。

可哀そうなことをしました。
本来宿根するはずなのに、冬の乾燥に耐えられず、次の年に芽を出してきません。

 ↑ サワギキョウ  
              近くの湿原で

  また、二人で睡蓮を探しに行ったこともある。バーニィは。ミスタウィスのどの小川や入江を探せばよいか知っていた。青い城に帰るやいなや、ありったけの花びんや水差しがその美しい睡蓮で一杯になる。睡蓮がなくても、ベニバナサワギキョウがある。ミスタウィスの沼地に、炎のリボンのように、さわやかに色あざやかに咲いている。
                  『青い城』 第30章  谷口由美子訳  角川文庫

Or they went after water-lilies. Barney knew where to find them in the creeks and bays of Mistawis. Then the Blue Castle was glorious with them, every receptacle that Valancy could contrive filled with the exquisite things. If not water lilies then cardinal flowers, fresh and vivid from the swamps of Mistawis, where they burned like ribbons of flame.)
 

上記、宿根ロベリアは、本来は赤が基本種ですが、最近、花色が青紫、紅、ピンク、白などのものが作出されています。しかし個人的には、カナダの沼地には、この赤い花が咲き乱れるのがいちばんふさわしいのではないかと考えます。
cardinal flowers」赤い花、でこの花の存在を知らしめることができるほど、適期には咲き誇るのでしょう。おお!
心臓に問題があり、余命一年と告知された『青い城』の主人公ヴァランシーは、母親をはじめとする親戚の縛り付けや、地域の習慣から自身を解き放ち、心の思うままに生きようと決心します。
そこへかねて心惹かれていたバーニィが現れ結婚し、カナダ・トロントの北マスコウカ湖にある、小さい島で夏を過ごします。
実は夫のバーニィは、身分を隠していたが、作家でした。
自然描写が美しく、生き方に共鳴できる著作をものにしていた憧れの作家が夫であるとは知らず・・・・結婚生活のなかでかつて感じたことのない幸せを手にしたヴァランシー。ある時・緊急事態を無事にやり過ごしたことから、余命一年という告知への疑問を持ち始め・・・。 
そうして、大団円。

この『青い城』には、1854年に出版された『ウォールデン 森の生活』 ソロー著 の内容に影響されたと思える場面が多々。
自然を語り、自然との関わりをテーマにした作品や日記、書簡集など、その後の詩人や作家に大きな影響を与えた人物「ヘンリー・デビット・ソロー」は、現代の生態学にも通じる考え方を貫き、環境保護思想の先駆者とも呼べる人物です。

  『森の生活』 ソロー著