ゼラニウム 

   ゼラニウム Geranium フウロソウ科 常緑多年草 南アフリカ原産

ゼラニウムは @ゼラニウム Aペルゴラニウム Bアイビーゼラニウムと大きく分けられます。

水はけの良い、ややアルカリ性の土壌を好み、栽培時や挿し芽をするときに、少し石灰や焼き灰を加えると生育が良くなります。日当たりと乾燥した20℃前後の気候を好むことから、ヨーロッパやカナダの夏の窓辺を飾るのに利用されます。冬の間、鉢を家の中の窓辺に置くと、信じられないほど枝を伸ばし、生育旺盛。
 

  あの窓に置いてあるあおい(that geranium)の花はなんていう名前なの?」
  「あれはりんごあおい(apple-scented geranium)いっていう種類さ」  
                       『赤毛のアン』 第4章 「緑の切妻屋根」の朝

 (What is the name of that geranium on the window-sill, please?"  "That's the apple-scented geranium."

 
 アンは、ほぉっとため息をついて、ゆり椅子にすわると、ボニーと名をつけたあおいの葉の一つにキッスし、(kissed one of Bonny's leaves)つりうき草の花に手をふってみせた。
                      『赤毛のアン』 第11章  アン日曜学校へ行く

(Anne sat down on the rocker with a long sigh, kissed one of Bonny's leaves, and waved her hand to a blossoming fuchsia.
 

マリラが大事にしているりんごあおい(apple-scented geranium)は、
Aペルゴラニウムの仲間で、ニオイテンジクアオイ (Pelargonium odoratissimum フウロソウ科テンジクアオイ属)と呼ばれます。
枝葉に芳香があり、四季咲き性が強くなく、寒さに弱いので冬期は家の中で育てましょう。
春先に小さな可愛らしい花をつけます。
ちょうどアンがグリーンゲイブルスに着いた頃が、春の花の最盛期だったはず。
 
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写真は、このりんごあおいと、他の品種を掛け合わせてできたナツメグゼラニウム(Pelargonium fragrans)
フレグランスの名前の通り、いい香りの花。

親の性質を受け継いでいて花もよく似ていることから、りんごあおいとして売られていることが多いようです。 
香りがあるのは、葉。
ケーキをはじめ料理に利用されます。

マリラはおそらくケーキ作りの香りづけに利用するため、冬の間も、台所の窓辺で育てていたのでしょう。


『アンの青春』にこんな記述があります。若者らしく理想に燃え、村の環境を良くするため、「改善委員会」を創設したアンと友人たち。
どう運営していくのか、アンとダイアナは真剣に相談します。
 

  「すてき! そしてぶなの木に下に風雅なベンチをおくのよ。それから春になったら、まんなかのところに花壇をつくって、ゼラニウム(geraniums)を植えましょうよ」

「それがいいわ。ただ、なんとか考えて、ハイラム・スローンのおばあさんのところの牛が道に出てこないようにしてもらわないと、ゼラニウム(geraniums)をすっかり食べられてしまうわ」とダイアナは笑い・・・                                                                   第2章  あとのまつり
 

 さて、ゼラニュームは牛が食べるのか?という疑問を持ち続けていましたが、ここで考えてみましょうか。

ゼラニウムのつぼみが大好きな虫がいて、手を焼いていますし、飼い犬がゼラニウムの葉や百日草の花や葉を食べているのを見つけたことがありますから、きっと牛も大好きなのだと思うのです。
柔らかくて香りのあるふわりとした葉や、華やかに咲く花のあでやかさに、たとえ色を識別できなくても、牛が心迷わされないとも限りません。はて?
 
動物、特に牛は食べられるものを峻別する能力を持つはずです。例えば馬酔木、きんぽうげ、毒ぜり、トリカブトなどを。
でも、時に誤食の事故が起きるのはどうしてでしょう。迷える牛さんの魂よ、安らかにあれ。
 

@ 普通にゼラニウムと称する花。
  (イギリス・湖水地方の家の窓辺で。2012.6

香りを利用する種類とは異なり、花を観賞するために栽培されます。

種類によっては、時に強烈な臭いがすることもあり、人によっては嫌うことも。

スイスの山小屋の窓辺に咲くゼラニウム。

B アイビーゼラニウムの照葉タイプ。
比較的湿気に強く、日当たりがあれば次々に花をつけますが、夏の暑さに弱く、日本であの真似ができるのは、北海道の夏くらいでしょうか。

スイスの人たちは、この窓辺を飾るゼラニウムを冬の間管理するのに、労力をそそいでいます。特別な部屋を用意したり、温度管理に気を遣ったり。
「挿し芽」を上手に出来るのが、いい主婦の証しなんだとか。

そうなると、この部分だけ取ればわたし、「いい主婦」なのか?

ゼラニウムの挿し芽ならまかせてください。

 

  
    ちょっと自慢げに、
挿し芽で増やした花をガゼボに飾っています。
       これでもう、何代目か・・・・おそらく10代目くらいでしょう。