万葉の植物  つつじ   を詠んだ歌
                          2011.5.14 更新               

 

               ヤマツツジ                          ミツバツツジ
   
     サツキ(赤)                       シロヤシオツツジ 

   つつじ (万葉表記   茵 管仕 管自 管土 都追慈)       ヤマツツジなど ( ツツジ科)

初夏の季節にふさわしい色の花、ツツジの頃を迎えた那須です! 
林は今,ヤマツツジの赤い色が新緑のなか浮かび上がっていて、朝夕の斜めの光を浴びたその花姿の美しいこと!
エクスクラメーション・マークを付けて皆さんにお知らせしたいくらい。
日本には、ツツジの野生種が多くあり、落葉するツツジ、常緑のツツジ、半落葉するツツジと分けられます。
さらに開花時の状態で、葉が出る前に咲くツツジ(ミツバツツジ、キリシマツツジ)、花と葉がほとんど同時に開く種類(レンゲツツジ、ヤマツツジ、ミヤマキリシマなど)、葉が展開したのち花を開く (サツキツツジ、アマギツツジ)などとラインアップはさまざま。
岩躑躅・イワツツジとは岩場に生えていて現在のサツキの原種。
ツツジの仲間のサツキは園芸上改良された種が多く、この種類を単独でサツキと呼ぶようになりました。

「サツキ」は「皐月躑躅(5月に咲くツツジの意)」からきているとのことです。

那須・茶臼岳の南麓にヤマツツジの群落が:
     八幡のつつじ http://www.town.nasu.lg.jp/hp/page000001500/hpg000001417.htm

 水伝ふ 礒の浦廻の岩つつじ  茂く咲く道をまたも見むかも    日並皇子宮舎人 巻2-185
(ツツジに較べて樹高が低く、這うように横に広がり、岩を覆うことからイワツツジの名が。)

 白雲の 龍田の山の霜露に  色づく時に.......(長歌)       高橋蟲麻呂 巻6-971
 (赤いツツジを詠んだのはこの1首だけ)

  山越えて  遠津の浜の岩つつじ 我が来るまでにふふみてあり待て   作者不詳 巻7-1188

 風早の  美穂の浦廻の白つつじ 見れども寂しなき人思へば        河辺宮人 巻3-434

 栲領巾の 鷺坂山の白つつじ  我れににほはに妹に示さむ         作者不詳 巻9-1964

 をみなへし  佐紀野に生ふる白つつじ 知らぬこともち言はえし我が背    作者不詳 巻10-1905

(上の3首はいずれも白つつじを詠んでいます。万葉びとは、萌黄色に芽吹いた新緑のなかに咲く、赤いつつじもやいつつじの輝くような美しさ、薄緑との対比、迫ってくるような色の冴えを尊重しました。花開くつつじのような若く美しい男女を象徴します。つつじと桜、この二つを並べ対照的に表現し、その美しさを楽しみました。)

 -----  青山を 振り放け見れば つつじ花 にほえ娘子 -----     巻13−3305

 ----- つつじ花 にほえ娘子 桜花 栄え娘子 汝れをぞも -----   巻13−3309

(にほふ。丹保 --- 赤い丹の色がすばらしいという意味。桜とつつじ、いずれも若く輝くように美しい乙女の形容。