万葉の植物 たはみずら  を詠んだ歌
                            2012.12.20 更新             

 

     

   たはみずら (万葉表記 多浪美豆良 )     ヒルムシロ (ヒルムシロ科)

池や沼、田に生える多年草。地下茎が縦横に這い、そこから水中茎を伸ばし、水の中の葉(沈水葉)と水の上の葉(浮水葉)をつけます。沈水葉は水の抵抗を受けないように細長く、浮水葉は長楕円形。花の時期は夏で穂状花序を伸ばし、黄緑色の小さい花を総状に付けます。調べてみたものの、あまり美しい花とは言いがたく、東歌の作者の生活に根ざした表現に感心するばかりです。

  安波をろのをろ田に生はるたはみ曼引かばぬるぬる吾を言な絶え 東歌 巻14-3501
(安波の山田に生えているたはみづらのように、ひっぱたらずるずる寄ってきて私の側を離れないでおくれ。仲を絶つようなことはしないでおくれ。

同様の歌がやはり東歌にあります。

       入間道の於保屋が原のいはゐつら引かばぬるぬる我にな絶えそね   東歌 巻14-3378
      上つ毛野可保夜が沼のいはゐつら引かばぬれつつ我をな絶えそね    東歌 巻14-3416