万葉の植物 さのかた を詠んだ歌 2011.8.16 更新 |
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さのかた (万葉表記
狭野方 ) アケビ (アケビ科 落葉つる性) 山野に生えるつる性の植物。しばしば木に絡みつき、4〜5月ごろ新葉の間から、紫色の花を咲かせます。 (写真の三つ葉アケビの花の場合は) 手すりなどに這わせると風情のある風景ができあがります。雌雄同株。 左写真の大きい花が雌花。垂れ下がって咲いているのが雄花。(個人的好みでは)見かけはあまり良くない花と色です。 沢山花を付ける割に実を結ぶのはそのなかの1割くらいか。 果実は秋に熟し、大きさは6センチから10センチ。熟し始めると同時に口を開きます。こうなると野鳥や蟻、蜂との競争になるのです。美味。
アケビの利用の仕方: |
さのかたは 実にならずとも花のみに 咲きて見えこそ 恋のなぐさに 作者不詳 巻10-1928 さのかたは 実になりにしを今さらに 春雨降りて 花咲かめやも 作者不詳 巻10-1929 (アケビはもう実になってしまっています。いまさら春の雨が降って花が咲くようなことがありましょうか。婉曲に求婚を拒んでいるようですね。作者はもう決まった人がいるのでしょう。) こんなに身近で、目立つアケビなのに、集中2首しかありません。パカッと口を開いた形があまりにあっけらかんとしていて、歌心を刺激しなかったのでしょうか。 蛇足 ツチアケビ (ラン科)
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