万葉の植物 さなかずら を詠んだ歌 2011.10.16 更新 |
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さなかづら (万葉表記
狭根葛 核葛) サネカズラ (マツブサ科) マツブサ科の常緑つる性木本植物。寒さ到来と共に葉が紅葉します。アントシアンが生成されるのでしょう。雌雄異株。関東以西に自生。 秋のこの時期、実が円形についている様子は面白く、やがて秋の深まりと共に、実も葉も赤く変化していきます。 茎の皮を剥ぎ水に浸してできる粘液を、びん付け油の原料として使われたので、江戸時代には「美男葛(ビナンカズラ)とも呼ばれ ました。少し前のポマード、現在の整髪剤に当たります。サナカズラは滑り葛(なめりかずら)から。 果実は南五味子と呼ばれ、強壮剤や咳止めに、樹皮の粘膜は紙を作るときの糊剤としても利用されました。写真のように赤く熟した果実が秋の日に照り美しく目立つことから、サネカズラは「実葛」、「核葛」とも書かれました。 さらにおおかたの記憶にある歌、百人一首(25) の歌。 名にし負はば 逢坂山のさねかづら 人に知られで くるよしもがな 三条右大臣 後撰集 |
サネカズラは、蔓の先が分かれ絡み合うことから、「後に会う」ことを、恋がいつまでも続くことを願う内容で詠われました。 玉櫛笥 みむろの山のさな葛 さ寝ずはつひに有りかつましじ 藤原鎌足 巻2-94 (ひたすら貴女を思います。ひたすらに。サ音から恋人との共寝「さ寝」を導きます。なにしろ藤原鎌足の恋の相手は鏡王。額田王の姉とされる説がありますね。近江朝で天智天皇の愛を受けた女性でした。天智天皇は鎌足の今までの功績を讃えて、自分の愛する人を下賜しようとしたのでしょう。) 柿本人麻呂妻の死にし後、泣血哀慟して作る歌 天飛ぶや 軽の道は我妹子が 里にしあれば.......さね葛 後もあはむと 大船の 思ひ憑みて 玉かぎる........(.長歌) 柿本人麻呂 巻2-207 あしひきの 山さな葛もみつまで 妹に逢はずや我が恋ひ居らむ 作者不詳 巻10-2296
さね葛 後も逢はむと夢のみに うけひわたりて年は経につつ
柿本人麻呂歌集 巻11-2479 |