万葉の植物 かづのき  を詠んだ歌
                               2012.6.30 更新          

 
    

   
かづのき (万葉表記  可頭乃木 )     ヌルデ (ウルシ科)コウゾ、カジノキという説も。

ヌルデはウルシ科の落葉樹木。那須ではいたるところに繁茂し、一見ウルシのような姿が散歩の道沿いに見られます。
ウルシ科ですが、かぶれることはありません。葉軸に翼があるので、ウルシとは簡単に見分けることが出来ます。ヌルデからは、白い汁が採れ、これを使って漆のように器物を塗ることから、白膠木と書かれます。ヌルデに寄生する「ヌルデフシムシ」の虫こぶ・「五倍子」からタンニンを採ることもありました。
古く、神聖な木とされ正月の祝い箸や護摩木としても用いられました。
カエデと同じように、綺麗に紅葉します。ウルシと違ってかぶれる心配のない、秋の林に目立つ美しい樹木です。
 
集中1首。

  足柄の わを可鶏山のかづの木の 我をかづさねもかづさかずとも   東歌 (相模) 巻14-3432

 (相模の国の東歌。この歌の意味を探るのはなかなか難しく、悩みます。かづす、は誘う、かどわかすといった意味か。同じ音を繰り返す、遊び心の溢れた歌。かづのきのように、私をかどわかし、連れ去ってくれないか。たとえそれが難しかったとしても---。)

このかづのきを、和紙の原料となるコウゾ、カジノキとする説もあります。どれも普通に野山に生育している植物です。