万葉の植物  ぬなは  を詠んだ歌
                               2012.12.13 更新          

 

      

   ぬ なは  (万葉表記  蓴 蓴菜)      ジュンサイ  ( ハゴロモモ科 またはスイレン科)

澄んだ淡水の沼や池に生える多年草の水生植物。葉や茎はぬるぬるした寒天のような物質に覆われ、花期は夏。酢の物や吸い物に利用されます。秋田県の郷土料理で、東北の宿に泊まると供されるのがこれ。普通は瓶詰めで売られています 。
葉はやや楕円形、直径10センチくらい。表面はつやつやとし裏面は紫色がかっています。地下茎で増え、地中から葉柄を水面まで伸ばします。
かつては日本全国に分布していましたが、水質の悪化や開発によって絶滅を危惧されている地域が多いようです。

  あが心ゆたにたゆたに浮ぬはな辺にも沖にも寄りかつましじ  作者不詳 巻7-1352

ぬなはとは沼に生える縄のような長い茎を持つもの。睡蓮に似た葉をゆらゆらと揺らすさまは風情があり、「ゆたにたゆたに」の表現にぴったり。岸にも沖にも寄り付かず揺れている様子を、辛く悲しい恋に重ねて詠います。