万葉の植物  ねっこぐさ  を詠んだ歌
                                2011..5.2 更新         

 

    
     オキナグサ (翁草)            若い果実(これは西洋翁草。2010年スイス)


   
ねっこぐさ (万葉表記  根都古具佐 )       オキナグサ(キンポウゲ科)

日当たりの良い草原や川原に生える多年草。全草に銀白色の毛を密集させ、花のあとの若い果実がふさふさとしていて翁の白髪を思わせることから翁草(オキナグサ)の名前が付いています。
花はやや俯き加減に咲きます。ここ那須でも10年前までは草原に群生していたようですが、いまやその姿を見るのは珍しくなってしまいました。
庭の湿気が多い場所に植えて失敗し、以後乾燥した石積みの間に植え込んで成功。毎年花を見せてくれます。
猫のようなふわふわした植物 → 猫草 → 根っこ草 と転訛
したのかもしれませn。全草にプロトアネモニン(心臓毒)、ラナンクリンなどを含む有毒植物。
汁液に触れれば皮膚炎を引き起こすこともあり、誤食すれば腹痛・嘔吐・血便のほか痙攣、心停止することもあります。
漢方において根を乾燥させたものが「白頭翁」と呼ばれ、熱性痢病に効き目があるとされています。

集中1首のみ。東歌に見られます。
  芝付の 御宇良崎なるねつこ草 あひ見ずあらば吾恋ひめやも  作者不詳  巻14-3508

  (あの娘に会ったばかりに、恋しくてたまらない。根っこ草に若い娘が重ねられている。寝つ娘=共寝した娘。)