万葉の植物 も を詠んだ歌 2012.12.12 更新 |
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も (万葉表記
茂 母) 水中の草の総称
日本全国に分布する多年草。地下茎が伸び群生します。 |
石見の海角の浦廻を浦なしと人こそ見らめ ・・・・ か青なる玉藻沖つ藻 ・・・ 浪のむたか寄りかく寄る玉藻なす寄り寝し妹を・・・ (長歌) 柿本人麻呂 巻2-131 (流れに身をまかせる玉藻は共寝に喩えられます。あるいは女性の髪の美しさにも。人麻呂が石見の国から都へ登ってくるときに詠んだ歌。対句、対語を重ねて情感を高め、最後に思いを強く押し出します。リズムとうねりに圧倒されますね。全身で愛する妻を歌う人麻呂。) 八雲さす出雲の子らが黒髪は吉野の川の沖になづさふ 柿本人麻呂 巻3-430 (入水した乙女を悼んだ歌。黒髪が川の流れになづさふ --- 美しい表現です。) 軽の池の浦廻行き廻る鴨すらに玉藻の上にひとり寝なくに 紀皇女 巻3-390 譬喩歌 (軽の池の鴨さえ恋しい人と共寝しているのに、ああ私はひとり・・・。玉藻はつがいの鳥がその上で寝る藻を褒めた言葉。紀皇女は天武天皇の皇女。異母兄弟の弓削皇子に宛てた歌か。) 川の上のいつ藻の花のいつもいつも来ませ我が背子時じけめやも 吹芡刀自 巻4-491
(「川の上・かはのへ」はここでは水面のこと。いつ藻とは尊い藻。いつもいつも〜して欲しい。「時じけめやも」・・・悪い時期。いつが悪いということはありません、を強調しています。) |