万葉の植物   あきのか  を詠んだ歌
                            2011.12.20 更新

 

       
     純日本産の松茸 1パック1.5万円                   赤松の花


   
あきのか  (万葉表記  秋香)    松茸 (マツタケ科)

松茸は菌根を作るきのこで、主に赤松の根と共生しています。
古代人はキノコの毒の有無を判別する知識を積み重ね蓄え、万葉時代には松茸は秋の味を楽しむものとして大いに食されていました。
それにしても「松茸」って高いですね。もう何年も口にしていません。庭に赤松の木が何本もあるので、越してきた当初は秋になると木の足元を探して歩いたものですが。やはり見つかりません。
なぜ? 結論から言うと「松茸は栄養豊富な山では育たないから」でした。
松茸の菌も松茸の宿主である赤松も、荒地に生息する植物で、土地が豊かになるにつれて姿を消していきます。これをパイオニア植物と言います。

昔の日本人は、里山と言われる住居の近くの山に入り、薪を集め落ち葉を肥料として利用していました。林は慢性的に栄養不足だったのですね。この栄養不足こそ松茸の理想とする状態。結果里山には松茸の
菌糸(シロ)が多く棲息していました。
燃料や肥料供給元として里山が利用されなくなった、これが松茸不作の原因でしょう。
香り松茸味しめじ。--- とは言え、やはりしめじより松茸。
 
  高松の この峰も狭(せ)に笠立てて 満ち盛りたる秋の香のよさ    作者不詳  巻10-2233 

 (高松とは、奈良の春日山東南の高円山(たかまとやま・432m)。聖武天皇の離宮がありました。・・・山の頂上を狭いくらいに、一面に笠を広げた松茸が生えている。なんといい香りよ。歌にリズムがありますね)