万葉の植物  くくたち を詠んだ歌
                           2011.2.20 更新              

 
  

   
くくたち  (万葉表記  九久多知 )       (アブラナ科の菜葉菜の総称か)

茎立は、春早く薹の立ったカブやアブラナなどを言い、古代では重要な食料でした。
歌に詠まれたような、冬の寒さを乗り越え春を迎える喜びは、今の世に生きる我々にも理解できますね。
緑の葉を食すことで、春の生命力を身に付けることができました。
土地の古老に聞きました。
「くくたち」の名前で今も栽培しているらしいのです。3月に入ると産直のお店に並ぶことでしょう。
作りやすく耐寒性、耐病性があり、初期は葉菜として、越冬して薹が立った「茎立(トウ菜)」として利用でき、雪の下で育ったものほど甘みが増し、雪解け後に伸びてくる柔らかい茎とつぼみの風味も、春の訪れを感じさせるてくれます。
お浸し、和え物、煮浸しなど。油との愛称は抜群で、ビタミンC、鉄、カルシウムなどを多く含みます。
集中1首のみ

  上野の 佐野の茎立折りはやし あれは待たむゑ 今年来ずとも    作者不詳  巻14-3406
 
(折りはやし---その通りなのです。同種のカキ菜の若い茎は、ぽきぽきと折り取れます。アクはほとんどありません)