万葉の植物 こけ を詠んだ歌 2012.5.11 更新 |
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こけ (万葉表記 苔 蘿 薜 ) コケ類の総称
コケ類には、スギゴケのようなセン類(鮮類)、ゼニゴケのようなタイ類(苔類)、ツノゴケ類、ウメノキゴケやニワツノゴケのような地衣類があります。 |
妹が名は 千代に流れむ姫島の 小松がうれに蘿生すまでに 河辺宮人 巻2-228 (和銅4年(711年)、河辺宮人が淀川の河口にあった姫島に、どこからか流れ着いた乙女の屍があるのを見て悲しみ慰霊するために詠んだ歌。なぜこの乙女は亡くなったのか? 若い人生のその一瞬にいったいなにが起こったのか?) (
この歌は挽歌です。早死、刑死、自殺といった異常死した死者を鎮魂するために歌われる歌。古代は死者の無念の思いがこの世に残り、生者に祟ると恐れられていました。死者の霊を慰めるため、悲しみを最大限に表現し、死は魂を慰撫することによってはじめて定まります。
いつの間も 神さびけるか香具山の 桙杉の本に苔生すまでに
鴨足人 巻3-259
(「奥山の岩に苔生し」は「畏くも」の序詞。恐れ多くもこんな晴れがましい席で歌をうまく考えることもできません。
(青根が岳とは、吉野宮滝の対岸の三船山の南にある山。「蘿むしろ」が木から垂れ下がってむしろのように見えたのですね。) |