万葉の植物  かたかご  を詠んだ歌
                              2010.5.21 更新             

    
    

   
かたかご   (万葉表記 堅香子)   カタクリ (ユリ科)

ユリ科の多年草。
この花の色をなんと呼びましょうか。篝火の色?反り返った花びらが陽を受けて輝く日々は、まだ春の季節のとば口。
カタクリは春の風を感じると、鹿の子模様の大きな双葉をのぞかせ、やおら花を開きます。
春妖精植物の(Sprig Ephemeral)のひとつです。

右の写真を見てください。花後の種袋の、このがっしりした姿からは、春浅い時期の楚々とした花姿は想像できませんね。種を播いて花を付けるのは、7年から8年後。今年裏庭で、7年前種播きしたカタクリが花を咲かせました。
この地にも30年前までは、花を摘んで食したり片栗粉の材料にしたりするほど、群生していたらしいのです。
集中カタクリを詠んだ歌はただ1首。大伴家持が天平勝宝二年(750年)三月二日に、赴任先の越中の国で詠みました。
若々しく、清新の気溢れる歌で、読むたびをち返る思いです。
          

 
 もののふの八十娘子らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花   大伴家持  巻19-4143