万葉の植物 からあゐ を詠んだ歌 2010.9.28 更新 |
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ケイトウ 藍の花 |
からあ ゐ (万葉表記 : 韓藍 鶏冠草 鶏頭草 鶏頭 ) ケイトウ (ヒユ科) (右はアイ 藍の花) からあゐとは、「韓の国の藍」。 現在の鶏頭にあたります。 (右の写真は日本の藍) 韓は朝鮮の古い名前、あるいは、中国の古称。中国から渡来した物に被せ、出自を明らかにもします。 転じて、広く外国から日本に入ってきた物や事だという表現にも使います。 韓葵、韓紅、韓藍、韓衣。 こう並べるてみると、「から」という明るい音の響きから、外国の文化への憧れや珍しさを感じた万葉びとの心の晴れやかさや、高揚する気持ちを感じることができませんか。 インド原産の花です。 中国を経由し、奈良時代に染料として日本へ移入された帰化・外来植物。 ちょうど今の時期、初秋の乾いた空気のなか、艶やかな深みのある赤い花を咲かせます。 若芽は食用になるようです。(そういえばヒユ科の植物!)日当たりとやや乾燥した土を好みます。 属名のケロシアは、ギリシャ語のケロス(Kelos)から取られ、その意味は「燃える」。--- 言い得て妙ですね。 トサカケイトウ、ヤリゲイトウ、フサゲイトウなどの種類があり、いずれもノゲイトウから分化したと考えられています。 トサカケイトウの花軸が平たいのは、帯化(石化とも)現象が固定したものです。 生長点が線状に変化し連なったので、このような花が咲きます。 頭花の赤がまだ夏の気配が残る初秋の緑に映えることから、3首目、4首目になると、「秘めた恋が外に現れる」ことの比喩表現として遣われています 、情熱的で華やかな赤に、熱烈な恋心を託して。 赤い色とは若い女性を、そして官女へのイメージを重ねたか。 4首とも相聞の歌であることにうなずけます。 種を作るのにも、この「からあゐ」は情熱的。恐ろしいばかりの数の種を撒き散らし、命の再生に向けて一途そのもの。 |
我がやどに韓藍蒔き生ほし枯れぬれど懲りずてまたも蒔かむとぞ思ふ 山部赤人 巻3-0384 (種を蒔き大事に育てた」とあるように、渡来したばかりで万葉びとに珍重された、観賞用の園芸植物だったのでしょう。「またも蒔かむ」とは「また新しい恋をしよう」の意に なりますか。)
秋さらば移しもせむと我が蒔きし韓藍の花を誰れか摘みけむ 作者不詳 巻10-1362 隠りには恋ひて死ぬともみ園生の韓藍の花の色に出でめやも 作者不詳 巻11-2284 |