万葉の植物 かほばな を詠んだ歌 2011.10.7 更新 |
|
|
かほばな (万葉表記 容花 貌花 可保婆奈 可保我波奈 )
万葉人はこの「かほばな」として、どの花を頭に描いていたのか特定しにくく、多くの説があります。 ヒルガオ (ヒルガオ科)ヒルガオ科のつる性植物。朝顔同様朝花を開きますが、昼過ぎまで花がしぼまないので昼顔・ヒルガオ。 ムクゲ (アオイ科)落葉低木。裏庭のムクゲは10年前、10センチほどの挿し穂を植えたもの。今や3メートルの高さにまで育ち、夏から秋にかけて艶やかな花を見せてくれます。
カキツバタ (アヤメ科)
オモダカ (オモダカ科) |
高円の 野辺のかほ花面影に見えつつ 妹は忘れかねつも
大伴家持 巻8-1630 (聖武天皇の行幸に同行し、伊勢から山城への道の途中、奈良の都に残してきた妻・坂上大嬢に贈った長歌の反歌。あなたは美しい、目に浮かんできて忘れられない。 --- こんな歌を受け取ってみたい、と思いませんか。題辞に季節はいつか書かれていないので、かほばなとはどの花か、想像するしかありません。ムクゲの印象が強く残ります。) 石橋の 間々に生ひたるかほ花の 花にしありけりありつつ見れば 作者不詳 巻10-2288
(川に置かれた飛び石の間に咲いている --- すなわち水生植物でしょうか。ではカキツバタ、またはオモダカの可能性も。) (宮能瀬川のかほ花とはいったいどの花か。水の流れと美しい花の取り合わせが爽やか) (人目に付かないようにひっそりといてください。私は一人偲んで美しい人を賛美しましょう。をかへに咲く花、つまりこの場合はヒルガオか) |