万葉の植物  
いはゐづら  を詠んだ歌
                                2011.10.3 更新         

 

    

   いはゐづら (万葉表記   伊波為都良 )    スベリヒユ    (スベリヒユ科)

平たく言えば畑の雑草。日当たりの良い肥沃な土地を好みます。夏の暑さが大好きです。
暑さに負けじと咲く「花スベリヒユ」は、このスベリヒユの園芸種。関西以西の、日本の亜熱帯?地域の夏花壇にお薦め。
子供のころ、祖母に「この草は食べられる」と聞いたのを今でも思い出すことがあります。
救荒植物として有用だったようですね。
茎のどこかを持って引っ張ると、浅く張った根がすっぽりと抜けて、雑草取りの簡単なこと。お浸しにすると美味か?

  入間道の 於保屋が原のいはゐつら 引かばぬるぬる我にな絶えそね 東歌 巻14-3378

 上つ毛野 可保夜が沼のいはゐつら 引かばぬれつつ我をな絶えそね  東歌 巻14-3416

 (この東歌の2首、どうも上の「スベリヒユ」の特徴に合いません。強いて言えば沼に生える「ジュンサイ」がふさわしいかと。
「スベリヒユ」を、伯州(現在の鳥取県)で「いはひづる」と言うことから定説になった。 ---- 『万葉植物事典』より。

物の名前は、時を経るうちに変化していきます。その土地の風習を取り入れて変える、言い間違い、混同する、あやふやな記憶、発音の聞き取り の難しさ、など原因はさまざま。
さまざまな経緯を経て変化していく名前と、その名を持つ植物を特定するのは難しいことです。