万葉の植物 はちす を詠んだ歌 2011.7.30 更新 |
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![]() 水草とは思えないほどの大きさに生長する多年草。原産地はインドとその周辺。古い時代に中国から渡来。 蓮の花(蓮華)は、清らかさや聖性の象徴として称えられることが多く、「荷」の字で書かれることもあります。花期は7月から8月。 淡い紅色や白い花が、泥田の中から咲き出して風に揺れている様子は、この世のものとは思えぬほど美しいものですね。花托が蜂の巣に 似ていることから、蓮(はちす)の名前が付きました。 水を遣る如雨露(ジョウロ)の水口に付いている部分を、はすくち(蓮口)と呼ぶのもこのことから。 「蓮根」(れんこん、はすね)は地下茎が肥大したもの。 輪切りにすると多数の穴が開いていることから、先を見通す=縁起物として御節料理に使われていますね。主成分は炭水化物。 レンコン堀りは、冬の風物詩。夏のいぐさ刈りと共に辛い労働ですが、ここ那須ではなぜか秋の終わりごろ堀りあげられ、道の駅などで売られています。那須のあまりの寒さに冬の作業が出来ないからかもしれません。 果実は: 楕円形で厚く硬い。発芽能力が長期間保持できることから、何千年前の果実(種子)が発芽して、現在も花を咲かせています。 例:大賀ハス(2000年前)、中尊寺ハス(800年前)、行田ハス(1400〜3000年前) 「ハスッパ・蓮っぱ」とは: 春に出るはじめの二葉は、浮葉。その後に出てくる葉は、水の上に突き出す。(抽水葉) 「はすっぱ」という、どちらかと言えば悪い意味の言葉は、なぜ蓮を使ってあるのでしょう?疑問です。 ・ 耐へがたきまで 蓮枯れてゐたりけり 安住 敦 ・ 蓮の実が飛べり 隣もすぐ飛べり 神尾季羊 万葉集には4首。 仏教伝来後の時代ですが、仏像の台座としての「極楽の蓮」を思い起こすのではなく、「蓮・恋・レン」を、すなわち美しい人を連想して詠んでいる ようです。 |
![]() ![]() (当時は食物をハスの葉に盛っていました。宴席でのご馳走を載せられた蓮葉を、美人になぞらえた歌。「家なるものは芋の葉」とは、自分の糟糠の妻を称したとの説もあります。ちょっと失礼ですが、それが愛情表現だっととも取れますね。) ![]() (題詞に「新田部親王にたてまるつ歌」。池に蓮の花が咲いていたのか、蓮のような美人に親王が通っているのか、蓮の花にことよせてある婦人に恋しい気持ちを漏らしたのか、親王に鬚があったのか。なかったのか。各説ありますが、それはそれで楽しいもの) *ここで髭と蓮の関係を見てみます。漢籍に「蓮鬚・れんしゅ」と言う言葉があり、鬚とは蓮のめしべの周囲にあるおしべを示すのです。「おしべが無い、そんな男には女性に声をかける資格が無い」と強い言葉を返すのでした。
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