柳 とポプラの謎  

  柳 と ロンバルディ・ポプラ  やなぎ ヤナギ科 Willow 柳と楊

中国原産で雌雄異株。柳には幹が高く直立するタイプと、枝垂れるタイプ、そして低木で直立するタイプがあり、いずれも水辺を好みます 。直立するのを、楊と書き表し 、枝垂れるのを柳 と表現します。 
島に自生している柳はホワイト・ウィロウが多く、その樹形を楽しむために植えられることが多いようです。

ダイアナの家の玄関にも柳の大木があり、(T−23章 the huge old willow tree)、第2巻でダイアナがフレッドに求婚されるシーンに出てくるのもこの高性の柳の木。(U-29章)
もっともこの柳は庭を囲んでいる柳の木。玄関前の木ではありません。
当時カナダでブルー・ウィロー模様の磁器が珍重されたのも、この柳の東洋的な図柄に惹かれたからでしょうか。
 

ポプラ ヤナギ科 poplar

ポプラの学名Populusは、震えるという意味。さやさやと葉ずれの音がすることから。
この柳と対を成すのが、ロンバルディ・ポプラ(イタリアヤマナラシ)。
柳とポプラの組合わせは、グリーンゲンブルスの守護神のようでもありませんか。
島ではこのポプラをイングリッシュ・ポプラと呼んでいるようです。
アニメ『赤毛のアン』のなかでは、クイーン学院の玄関にもこのポプラを配してありました。

 一方には大きな柳 (willows)の古木がたちならびもう一方の側には、威風堂々と言いたいロムバルディポプラ(prim Lombardies)が植わっていた。
         『赤毛のアン』 第1章 レイチェル・リンド夫人驚く

(Very green and neat and precise was that yard, set about on one side with great patriarchal  and the other with prim Lombardies.

柳の古木があるということは、グリーンゲイブルスの土地には地下水脈があり、住民のマリラは水不足に悩まされたことはないのでは、と想像します。
..の庭先にそびえ風に揺れる柳は、高生のしだれ柳は英語ではWeeping willow。葉ずれの音がささやくように聞こえたのでしょうか。

西の樅の丘から吹きおろしてくる、涼しい風がとりいれのすんだ畑をぬけ、ポプラの間をさらさらとわたっていった。( whistling through the poplars.
       『赤毛のアン』 第22章 アンお茶に招かれる

 (A cool wind was blowing down over the long harvest fields from the rims of firry western hills and whistling through the poplars.)

  アレックス・デイビス氏の背の高い墓碑が、長い手をふりしぼるみたいに気味悪く打ちふっていた。時にはその枝の動き具合で、墓碑まで動いているように見えるのだった。

                          『虹の谷のアン』 第25章 カールの罰
 

  大きな柳の古木 
  カナダ、バンクーバー島
  

 

  ロンバルディ・ポプラ
  イタリア北部


  ポプラ 花の後、綿毛付きの種子を付ける。
これが風に乗って飛び、あたりは真っ白に。
「柳絮飛ぶ」とはこのことか。  
 コットンウッドと呼ばれるゆえん。(Cotton wood)
 

    
    那須町芦野、遊行柳。
          ここで芭蕉は青田嵐のなか、「田一枚植て立去る柳かな」と詠みました。
 
ロンバルディ・ポプラは、セイヨウハコヤナギ(イタリアンポプラ)。

ただし、多くの交雑種があり、交雑した種の和名、英名は、統一した名前が存在しません。
その樹形と葉だけで種の同定、識別するのは困難です。更に北イタリア原産のロンバルディ・ポプラが島の気候に適応できるのか、という大きな疑問も残りますが、作者はこれらの高性樹の「聳える、枝垂れる、揺れる、そして素直さ、努力すること」のイメージを作中に取り込みたかったのでなかとも考えます 。
なお、ポプラは水辺の木で水に強く灰汁が無いことから、食品加工する道具に用いられます。