野生のいちご      

  野生のいちご  いちごの砂糖漬け いちご摘み

 

 マリラは火のように赤くなったけれど、ひと言もいわなかったわ --- その時はね。ただ、プディングとソースをさげてしまって、いちごの砂糖づけ(strawberry preserves)を持ってきて、あたしにとりわけてくれさえしたのよ。・・
        『赤毛のアン』第16章 ティー・パーティーの悲劇

(Marilla turned red as fire but she never said a word--then. She just carried that sauce and pudding out and brought in some strawberry preserves. She even offered me some, but I couldn't swallow a mouthful.

 ・・その結果、アンはしたい放題、遊びたい放題、夏の生活を楽しみ、散歩、舟こぎ、いちごつみ(berried)、空想と思いのままの生活をした。
         『赤毛のアン』 第31章 二つの流れの合うところ

(As a result, Anne had the golden summer of her life as far as freedom and frolic went. She walked, rowed, berried, and dreamed to her heart's content; ).
 


写真は、カナディアン・ロッキーのミネワンカ湖畔で撮影。(Common strawberry

すぐ上には熊がいて、やはりベリーを食べていた。


「ねずみがおぼれたプディング・ソース事件」のあとの、マリラのいちごのさとう漬け。
アンは味を感じる余裕さえなかったことでしょう。
このいちごは、Common strawberry (Fragaria virginiana) バラ科オランダイチゴ属で、現在の栽培種の親とされています。いたるところに生え、小さくて赤い香りの高い実を、夏に実らせます。
日本では、よく似たワイルドストロベリー( Fragaria vesca ヨーロッパクサイチゴ)の苗が販売されているので、試してみたい方はどうぞ。
我が家の裏 庭にはこのワイルドストロベリーが繁茂していて、摘むたびカナダの野原を思い出しています。
 

 さて、一心に勉強した後の夏休みに摘んだ二番目のいちごは?
原文には単に「berried」としか書かれていません。
夏の時期、野原や林で見つけられるベリーはさまざまで、例を挙げると。

マルベリー(桑)、ブルーベリー、上記のコモンストロベリー、 ブラックベリー、
セイヨウアカミニワトコ( Red Elderberry)、ラズベリー(赤、黄色、黒) 、
コケモモ (リンゴベリー)、ツルコケモモ(クランベリー)など。

アンはこれらのベリーの、どの種類を楽しんだのでしょう。

『青い城』には、ストロベリーとブルーベリーを摘んだという記述があります(第30章)。
Sometimes they took a lunch with them and went berrying--strawberries and blueberries. )

この可能性が大きいですね。
懐かしくも羨ましい夏休みです。

 

 

 

 

 

 

  
     ブルーベリー

       
マルベリー

 

 

 

 

 

 

 

  コケモモ

    セイヨウアカミニワトコ

 

 

 

 

 

 

 

   ラズベリー   

    ゴゼンタチバナ