つた
つた
つる植物 Virginia
creeper ブドウ科ツタ属 グリーン・ゲイブルスの外壁に茂っている蔦の描写が数回 あり、いずれも外壁にからみついて茂り、陽の光を浴びて輝く様子を、家の中の人物の行動や心理と重ねて描写しています。一番の印象は、蔦の存在にその人物が守られているということでしょうか。 目の悪いマリラを、陶然とするアンを、心の内をマリラに打ち明けるアンを、頭上から見守っているような蔦。さて、その蔦は? |
青々した蔦がからみついた東の窓をのぞくと 『赤毛のアン』 第1章 レイチェル・リンド夫人の驚き (・・・was greened over by a tangle of vines.)
窓の外からりんごの木と蔦(vines)の葉越しにさしこむ白と緑の光線が、無我の境に浸っているこの小さい女の子の姿の上を、神々しく照らしていた。 (The white and green light strained through apple trees and clustering vines outside fell over the rapt little figure with a half-unearthly radiance. ) ・・・ 窓辺にむらがり茂っている蔦(vines)の葉ごしにもれさす日光が、・・・ (As Marilla lifted it out, the sunlight, falling through the vines that clustered thickly about the window, struck upon something caught in the shawl--something that glittered and sparkled in facets of violet light. ) アンはちょっと顔を赤らめて笑い、本をふせると、うっとりと窓の外をながめた。春の日光にさそわれて、大きな、赤い、ふくらんだつぼみが、蔦から萌え出ていた。 |
本文に「入学試験まであと二月」という描写があることから、季節は早春りんごの花の頃。 |
家全体にからんでいる蔦は霜のため、赤銅色や葡萄酒のような赤色に紅葉していた。 (・・・finding easy foothold on the rough stonework and turned by autumn frosts to most beautiful bronze and wine-red tints.) |
とあります。
古く中国では、緑を青と称しました。若い、新しい、生き生きしているなど表現にも遣われますね。 → 芥川龍之介 『芋粥』 → 清少納言 『枕草子』 |