たましいは花 

  たましいは花

過去から繋がっているのは一筋の糸。その糸を手繰り、今を存分に生き、未来を良きものにせよ。
魂に砦を築け、悪しきものが入らぬように。知性で考えよ、愛は命のぬくもり。
夢をゆさぶれ、歌を歌え、よき言葉を口にせよ。                

 「あたし、いつだったか、魂は花のようなものだと書いてあるのを、なにかで読んだわ」とプリシラが言った。 アンは「それなら、あんたの魂は金色の水仙(a golden narcissus,)よ。それからダイアナは、赤い、赤い、ばらだし(a red, red rose)、ジェーンのはりんごの花(an apple blossom)、ピンクで、健全でやさしいのよ」
「それではあんたのは、芯に紫色の縞がはいっている白すみれよ(a white violet, with purple streaks in its heart)」とプリシラがむすんだ。  
                 
『アンの青春』第13章 たのしいピクニック

("I read somewhere once that souls were like flowers," said Priscilla.
"Then your soul is a golden narcissus," said Anne, "and Diana's is like a red, red rose. Jane's is an apple blossom, pink and wholesome and sweet."
"And your own is a white violet, with purple streaks in its heart," finished Priscilla. )
 

真面目で堅実派のジェーンはリンゴ。 
   平凡な日々を生き、地道に努力し続け、最終的には目的を達成する。
   プリシラは金色の水仙。前向きで努力家、想像力とユーモアの精神が両立し、他人を思いやる心を持つ。
   ダイアナは赤いばら。愛情をたっぷり受けて育った素直な性格を持ち、周囲の人を明るくする。
   アンは、白すみれ。紫色の縞は自立心。友情を重んじ孤独に打ち勝ち忍耐心があり、義務を遂行する。」


   早春のラッパスイセン

 コッツウォルズのハニーストーンに映える薔薇
  


 

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  そのあたりに咲いていた花は、やさしくしおらしい無数の釣鐘草(June bell )と去年の花の精にも似た青白いスターフラワーだけだった。
          『赤毛のアン』 第9章 レイチェル・リンド夫人あきれかえる
 

グリーン・ゲイブルスに置いてもらえることになったアン、さっそく周囲の探索に出かけます。

モンゴメリの大好きな釣鐘草(June bell )のそばには、「去年の花の精のスターフラワー」が咲いている・・・去年の春、溢れるように咲いた花々の魂が、スターフラワーの白い花に凝縮されている ・・・ 白い花、おそらく芯に紫色の縞の入った白すみれにも通じる清純さや素直さ。星に象徴される未来への希望と夢。花は人のたましい。

 「あたし、今日の午後、マシュウ小父さんのお墓にばらを植えてきたんです、小父さんがとても好きでしたから。 
          『赤毛のアン』 第37章 死のおとずれ

 ("I was down to the graveyard to plant a rosebush on Matthew's grave this afternoon," said Anne dreamily. "I took a slip of the little white Scotch rosebush his mother brought out from Scotland long ago; Matthew always liked those roses the best--they were so small and sweet on their thorny stems. )

母に愛された日々を記憶している、マシューの小さい白いスコッチ・ローズの花。愛することと愛されることの、魂の交流が花の姿で現世に顕れます。

人として生きるからには、どんな片隅にあるにせよ、あたりを照らせ。他人と暖かく交われ、人の記憶の中に留まるような人間であれ。魂は花のようにあれかし、と。

     
 さんざし(Mayflower)のことをどんなふうに考えているかわかる、マリラ? あれは去年、死んだ花の魂で、これがその花たちの天国にちがいないと思うの。
             『赤毛のアン』 第20章  行きすぎた想像力

Do you know what I think Mayflowers are, Marilla? I think they must be the souls of the flowers that died last summer and this is their heaven. )

 紫水晶って、おとなしいすみれたちの魂(souls of good violets)だと思わない?」
             『赤毛のアン』 第13章 待ちこがれるピクニック
 
 (
Do you think amethysts can be the souls of good violets?" )

『アンの愛情』では、アンは夕日の美しさに声を上げるダイアナに話します。
「夕日の向こうに、あたしたちのきのうがそっくりあると思う、ダイアナ?--- 昔の春や花が? ポールが見たと言っていた、過去にあたしたちのために咲いたばらの花の花壇があると思って?」 
              『アンの愛情』 第11章  人生の移り変わり

 ("Do you think we could find all our yesterdays there, Diana -- all our old springs and blossoms? The beds of flowers that Paul saw there are the roses that have bloomed for us in the past?")