しもつけそう

  しもつけそう   spirea 
        
バラ科シモツケ属の総称  シモツケソウ コデマリ ユキヤナギなど。
  ・・・・・あたしがしもつけそう(spirea)は花が咲く前に刈りこんではいけなかったのだとほのめかしただけでおばさんは泣いてしまいなすったじゃないの。」
                『炉辺荘のアン』 第14章 春

   
 
("No, no, Susan, we'll leave them there for the time being. She cried, you remember, when I hinted that she shouldn't have pruned the spirea before blooming.")

  「こういうところに夢が育つのだわ」エミリーは仕合せな気持ちで行った。
小道がどこまでも続いていたらいいと彼女は思ったが、それはやがて小川から外れた。そして、苔の生えた古い板塀をよじのぼって見ると、そこはニュー・ムーンの前庭 で、スパイリアの灌木を刈り込んでいた。
「あのね、ジミーさん。あたし可愛い小道を見つけたのよ。」とエミリーは息を切らしながら言った。

                                                       『可愛いエミリー』 第7章  昨日の本

(This is one of the places where dreams grow," said Emily happily.She wished the path might go on forever, but presently it veered away from the brook, and when she had scrambled over a mossy, old board fence she found herself in the "front garden" of New Moon, where Cousin Jimmy was pruning some spirea bushes.
"Oh, Cousin Jimmy, I've found the dearest little road," said Emily breathlessly.)

  
     ユキヤナギ         庭のコデマリ          裏庭のシモツケソウ
 

スパイリア(spirea)はずれも 落葉する低木でブッシュ状に茂り、観賞用として利用されます。
春の季節に先駆けてユキヤナギが咲き、ついでコデマリ、シモツケソウの順に花を付けます。
花木の剪定は、花後すぐに、次の年の花芽が形成される前に行うのがコツ。
水仙と同じころに咲くのならば、ユキヤナギの可能性が高いのですが。はて。

この3種類の花木は、「
Jimmy was pruning some spirea bushes.」とあるように、強剪定しないと樹勢が乱れるので、来年の春の木の姿を描いて泣く泣く剪定するのが秋の大事な仕事。
原文で、どの季節が設定されているのか検証してみます。
1)炉辺荘のスパイリアは、水仙の咲く前にメアリー・マライヤおばさんに剪定されてしまった。
しかし、剪定時期をここの文章だけで確定できません。おそらく同じ場所に記述のあるアイリスの移植時期の前だと考えますが。
さすがの頑固者のおばさんも、春の息吹の心を躍らせたようですから。 頑固者?いえいえおばさんは寂しいのです。自分の好意を表現するのが、下手なだけ。それは生来のものか、老いて獲得した性質か。2)エミリーがニュームンに引き取られたのは、6月。花どきで、おだまきの花、野生のばらが咲き乱れる、シダが茂っている 、ツリガネソウが咲いているころ。
そして、花木を知り尽くしているジミーさんが花後のスパイリアの剪定をしている。

・・・・これらのことから、春一番に咲くユキヤナギと春が長けたころに咲くコデマリではないか。
シモツケソウ(訳文ママ)は、もうすこし暑さが増してからゆっくり花を咲かせるのです。