ルバーブ     

  ルバーブ タデ科 (Rheum  Rhabarbarum) 
                                                 別名 ショクヨウダイオウ(食用大黄)

ロシア南部原産のタデ科の植物。
耐寒性は極めて強く、初夏から伸び始める葉柄を食用に利用します。効用として整腸作用や利尿作用。つまりおなかの調子がとてもよくなるのですね。
効き目があり過ぎて、妊娠中の人や、腎臓疾患、関節炎などの病歴を持つ人は食してはいけません。写真のように、大きな根出葉と共に紅色をおびた葉柄を四方に伸ばし、日々生長し続けます。
一見日本の蕗やズッキーニ、スイス・チャード(フダンソウ)に似ています。酸味の強いリンゴとアンズが一緒になったような味で、生食できなくもない、と言った味。ビタミンC、カルシウム、繊維を多く含みます。
 

 「母が少しばかりですけど、この大黄(ルーバーブ)のゼリーをよこしました(little pot of rhubarb jelly)」と、ダイアナは快活に言った。
                『アンの愛情』 第11章  人生の移り変わり

 ("Mother sent you this little pot of rhubarb jelly," said Diana pleasantly. "She made it today and thought you might like some." )

「ああ、有り難う」アトッサ伯母さんはきむずかしい声をだした。「あんたの母さんのゼリーはなんとしてもわたしの口にはあいませんよ---いつもあんまり甘くしすぎるからね。けれどまあ我慢してすこしばかり呑込んでみようよ。この春はひどく食欲がないんでね。どうして、どうして健康どころじゃないんだよ」

("Oh, thanks," said Aunt Atossa sourly. "I never fancy your mother's jelly -- she always makes it too sweet. However, I'll try to worry some down. My appetite's been dreadful poor this spring. I'm far from well," continued Aunt Atossa solemnly, )
 

  堅実な暮らし スイス、グリンデルワルトにて
背景には、ルバーブ、オダマキ、リーフレタス

 
  茎がこんなに赤いと、綺麗なジャムが出来上がる

小説でしか読むことのなかったルバーブが、ここ那須に越してきてから道の駅で売られていて、驚くやら嬉しいやら。
利用方法はまず、ジャムに。パイやタルトの中身に。
私は爽やかに仕上げるために、果糖を使います。
綺麗な色に仕上げたい時には、季節の果物のイチゴ、ブルーベリーなどを加えるとよいでしょう。
島では、このルバーブの葉で自家製のバターを包んで保存した、と『生活事典』にありますが、殺菌作用があったのでしょうか。
さて、ダイアナがアトッサ伯母さんに届けたジャムとは?ゼリーと訳されていますが・・・。
この場合、果肉の残らないルバーブのジャムを言います。
ルバーブはあまりペクチンを含まないので、煮込んでも塊りになっていくだけ。
おそらくアトッサ伯母さんは年齢のせいか、○○○がちだったのでしょう(○○○はなにか。想像力を働かせましょ)。あるいは、ダイアナの母親はもうひと手間かけて本式のゼリーに仕上げたか。
なにしろ年長の伯母という存在は、それ自体に気を遣うものですから。
ジャムはある量を作る方が上手に出来上がります。せっかくの好意を素直に受け取れない伯母さん・・・甘えの裏返しか、年齢を重ねると共に頑固になる老人の心のありさまを、ジャムひと瓶でさりげなく描写してあるこの場面を読むたび、ああ他人事ではないな、と思うのでした。
それに、若さと健康にあふれるダイアナとアンの、老人に対するうとましさをもほんの少し感じます。
嫌老という感情は人間の根底に潜む感情。これを尊老に変換するのは・・・それは愛情と教育と文化。