こけ  

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  こけ  moss 狭義のコケは苔類、蘚類、ツノゴケ類の総称。

コケ(moss)は水分や養分を吸収するような発達した根を持たず、葉から水分を吸収し光合成によって生長します。繁殖の方法は、胞子 で。

語源は木毛(こけ)で、樹木の幹などに生えている小さい植物の総称でした。
 

 あたしたち、家をりっぱにしたの。見にきてちょうだいね、マリラ。こけだらけ(covered with moss)になってる大きな石を持ってきて、すわるところにしたし、木から木へ板をわたして棚をつくったの。そしてその上にお皿をすっかりのっけたの。 
                                              『赤毛のアン』第13章  待ちこがれるピクニック

 (You must come and see it, Marilla--won't you? We have great big stones, all covered with moss, for seats, and boards from tree to tree for shelves.)

ギルバートは泉のほとりのしだの上にながながと横になり、満足そうにアンをながめた。
                                              『アンの青春』   第19章   幸福な日々

 (Gilbert stretched himself out on the ferns beside the Bubble and looked approvingly at Anne.)

 「ここに苔のクッションのついた倒れ木があるから、座りたまえ、アン --- この苔のクッションが森の王座ということにしよう。
                                            『アンの愛情』 第2章   秋の花飾り

"Here's a fallen tree with a cushion of moss. Sit down, Anne -- it will serve for a woodland throne. I'll climb for some apples. They all grow high -- the tree had to reach up to the sunlight." )

 日陰の隅っこは、苔に覆われ、小道にそってシダや野花がゆれている。私達は木の下をぶらぶら歩いて、小川の苔むした土手に横になった。
                                           『日記』 1890年5月6日 桂宥子訳 

 最後には、全員、苔むした丘のモミの木々の下に座り、花輪や花束を作った。
                                            『日記』 1890年5月13日 桂宥子訳 
 

 
幼いアンも成長したアンもギルバートも、そして作者モンゴメリも、苔が好きなようです。

ずっと不思議でした。湿気た場所に座ったり、横になったりすることは、決して快適とは言えない動作ですが、嫌ではないのでしょうか。
服が押し潰されて草木染状態になったり、泥が付いたり。不愉快なことが起きますよね。

苔と言えば、日本人にとっては「湿気た場所に生え広がる植物のようなもの。狭義には苔類、蘚類、ツノゴケ類の総称としてコケ植物だと受け取ります。
さらに地衣類や小型の藻類、シダ植物などを含む場合もあります。
おおざっぱに言うと、コケは樹木の幹や湿気た地面に生えている小さい植物の総称と考えましょう。

日本庭園や盆栽で利用されているのを目にします。そもそも日本の国歌「君が代」にも「苔のむすまで」と弥栄を言祝ぐべく歌われています。

 中学英語で、「A Rolling Stone gathers No Moss」(転石苔を生ぜず)を習ったのははるか昔。
日本人ならこれは、「職業や住居を変えてばかりいる人は、地位も財産もできない」、「じっと耐え忍び長く目標を立て、努力し続けないと大成しない」という意味に取りますが、アメリカではそうでもないようです。
「活発に活動している人は、時代に取り残されない」という意味で使われるようになりました。「活動し続け、前を向いて進む人間こそ、成果を手にすることが出来る」と。
どちらも真理ではありますが.
 

苔の花言葉(花なのです)は母性愛、信頼、孤独、物思い。  分かるな。