キンセンカ色の空
きんせんか色の空 キンセンカ Pot Marigold (Calendula officinalis) キク科 和名はキンセンカ(金盞花。千寿菊とも)・・・黄金色の花が福寿草のようにさかずき型をしていることから。 別名はカレンデュラ、またはポットマリーゴールド。聖母マリアに由来する名前を持つこの花の原産地は地中海沿岸。 普通は秋に種を蒔き、春咲きの一年草として扱います。花が小さく那須の寒冷地でも育つタイプもあり、和名はそのまま「冬知らず」。 那須の厳しい冬を乗り越えて、ある日地味に花を咲かせると、嬉しさもひとしお。 古くからハーブとしてその効用が知られています。 (「見ているだけで目が良くなる」。こんな言い伝えも)。 エディブル・フラワー(食用花)で、花びらをサラダに、乾燥した花はサフランの代わりに、キンセンカオイルは血行を良くし、はてはキンセンカ酒をつくることもできる、その上花は美しいときます 花の色はオレンジや黄色を基本にして多様で、一重と八重がありますが、栽培種として出回るのは八重の花が多いようです。 ややアルカリの土を好むので、植える時は、心して石灰や木灰を土壌に混ぜてやりましょう。 花言葉は「慈愛」「乙女の美しい姿」、そして「暗い悲しみ」。 |
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しばらく前に日は沈んだが、なごやかな夕あかりの中にあたり一帯がひと目で見はらせた。西のほうには黒ずんだ教会の尖塔が、きんせんか色の空(a
marigold sky)にそびえていた。 『赤毛のアン』 第2章 マシュゥ・クスバートの驚き (They were on the crest of a hill. The sun had set some time since, but the landscape was still clear in the mellow afterlight. To the west a dark church spire rose up against a marigold sky.) |
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ギリシャ神話にキンセンカが作られたというお話があります。
* 英文学作品では、太陽との関わりを描かれることが多く、シェークスピア『冬物語(The Winter's Tale)』 には
どうにも抑えきれない表現欲に駆られ、次々に言葉を紡ぎだす作者モンゴメリ。
アンと境遇が似ていなくもない、『ハイジ
』の物語に、こんなシーンがあります。 |
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いつのまにか夕方になり太陽はずっと向こうの山のかげに沈もうとしていました。 ハイジはまた地面に腰をおろし、だまったまま、金色にかがやく夕日に照らされたツリガネソウやロックローズをながめました。草地も黄金色にそまり、岩山は上のほうがきらきらひかっています。ハイジはいきなりとびあがって、大声をあげました。 「ペーター、ペーター! 火事よ! 山がすっかり燃えて、雪のかたまりも、空も、こがね色してる。ほら見て、あの高い岩の山が燃えあがってる! 雪も。燃えてる。雪って、きれいね。ほら、鷹のおうちも燃えてる。あそこの木を見て。みんなみんな火に包まれている」。 「それはだな」と、おじいさんは答えました。「太陽の仕業なのだ。山に向かっておやすみ、というときに、いちばんきれいなひかりを投げかけていくのだ。そして明日またくるから忘れないで、といっているのだよ」 |
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若松宜子訳の素晴らしさには感動させれらます。このリズムと語彙の豊かさ。人間の心を、素直な優しい言葉で表すのはとても難しいことですから。 (このツリガネソウは村岡花子が「ほたるぶくろ」と訳したブルーベル( Bluebell → Harebell )のことでしょう 。)
日当たりが良く、風の吹き通る涼しく乾燥した生育場所が好きなようで、標高の高い、栄養に乏しい土地でも育ちます。 |